学園設定(補完)

□3Z−その6
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#75

作成:2018/08/15




ある日の朝、銀八は寝苦しくて目を覚ました。

ぼんやり開けた目から見えるのは確かに自分の部屋だ。

昨日は週末だったので同僚と飲みに行った……というのは覚えているのだが、どうやって家まで帰ってきたのか。

それを考えながら起き上がろうして、隣で誰かが寝ていたせいで寝苦しかったのだと気付いた。

しかも触れてる感触からして、その誰かは裸のようだ。

前にもあったが、酔っ払った坂本が勝手に同じベッドで寝ていたのを思い出し、

「おまっ、裸で寝るんじゃねーって言って……」

そうぼやきながらそちらへ視線を向けると、そこにはぐっすりと寝入った別人がいた。

驚きはしたが、見ず知らずの男というわけじゃないので怖くは無い。

まあ、別な意味では怖かったのだが。

「……ん……」

目が覚めたようでゆっくりと起き上がるその身体は、思っていたよりも、見た目よりも華奢で白い。

後になって、剣道部で陽に当たらないからかな、なんて思ったりした。

でもその時は、もしかして他人の空似かもしれない、だったらいいな、という気持ちで聞いたのだが、

「……ひ、土方?」

「……おはようございます、先生」

間違いなく、担当クラスの男子生徒である土方十四郎だった。

有り得ない者が有り得ない場所で有り得ない格好をしている。

動揺しつつも現状を把握しようと思ったのかもしれない。

「な、ななな、なんでお前が……」

「昨日の夜、道で会ったんです」

「ど、どどど、どうしてここに……」

「先生が連れてきたんだろ」

「そ、そそそ、それにその格好……」

「……これは先生が……」

どもりまくる銀時に対し土方のほうが落ち着いていたが、最後の質問には恥ずかしそうに答えたあと目線を反らされてしまう。

『ええぇぇぇぇぇ、俺なにしちゃったのぉぉぉぉぉ!!!』

と叫び出したいのをぐっと堪えて、

「えっと……な、何が……」

思いきって訊ねてみようと思ったのだが、土方はベッドを降りて散らかった服を素早く着込んだ。

「……俺、帰ります」

「え、ちょっ、土方……」

立ち止まりもせずにぴゅーっと部屋を出て行ってしまった土方に、銀時は呆然とする。

明らかに何かしてしまったのだ。

そう思うと、なんだか体が上も下もすっきりしているような気がする。

上はまあ酔ってゲロゲロとしてしまったからかもしれないが、下はどうしてだろうと困惑した。

一人でするのもご無沙汰だし、もちろんそういうことをサービスでやってくれる恋人もいない。

『も、もしかして……土方相手にそういうことをいたしちゃったりなんかしたりしたんじゃあ』

すっきりした身体とは裏腹に、気分がもやもやする銀八だった。


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