原作設定(補完)
□その6
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#60
作成:2015/05/24
「んがっ、痛っ…な、なんだぁ………アレ?ここどこ?」
気が付くと暗くて狭いところに居た……のは頭だけだったようで、あちこちにぶつけながらようやく頭を抜いて、目の前にあったのは自動販売機だった。
「だれだぁ、俺を自動販売機の取り出し口に入れたヤツぁ!?」
誰も答えず、見回しても誰もいない。自動販売機の電灯だけが妙に明るかった。
「あ〜〜……?」
地面に座り込んだまま、どうして自分がここにいるのか、記憶にある部分から順に辿ってみた。
新八とお妙に弁当があるからと誘われて花見に来てみれば、弁当のかわりにかわいそうな卵焼きを食わされ、チンピラ警察24時が因縁をつけてきたんで遊んでやってたら、多串くんと飲み比べになって……
その後は覚えてない。新八たちも真選組もいないということは、みんなもう帰ってしまったようだ。
「ちくしょ、あいつら人を置いていきやがって……」
「ううう」
「あ?」
何やら低い声がすぐ近くで聞こえ、見回すが誰もいない。
「う〜」
「だ、誰かいるんですかぁ?お〜い?」
呻くような男の声に、恐る恐る声をかけたり、自販機を覗いたりしてみたが、やっぱり誰もいなかった。
「……な、なんだよっ、なんかアレ的なもんじゃねぇだろうな」
考えたくない霊的なものの存在が浮かんだとき、
「ふんがっ!」
「ひぃっ」
はっきりと聞こえた大きな声に、逃げ出そうと慌てて立ち上がったら、すぐ横に足が見えた。
「ぎゃぁぁぁあああっ!!………あ?」
よく見るとその足には胴体が付いていてそれを目で追っていくと、その先には見覚えのある頭が付いていた。
自販機の上にいた土方だった。
「ん〜」
「お、おどかしやがって。てめっ、んなとこでなにやってんだっ」
ビビったことへの照れ隠しにキレてみたが、返ってきたのは一言。
「ぐぅ」
「寝てんのかよっ。……ま、ごゆっくり〜」
関係ないと立ち去ったが、夜風はまだまだ寒いのに気付いてしまい、しぶしぶ戻ってくる。
「ちっ。多串く〜ん、いくらおめーでも風邪ひくぞ、起きろっ」
「…あ?……もう飲めね…」
「…しょうがねーなー…」
完全に酔っ払っている土方に、とりあえず自販機の上から降ろそうと思ったが、過程をシミュレートしてみる。
頭から引っ張っると、身体がどーんと落ちてくる。横から引っ張っても、身体がどーんと落ちてくる。…ということは。
「おいっ、降ろしてやるから、少しずつ後ろに下がれ、少しずつだぞっ」
「……んあ〜……」
ちゃんと聞こえていたらしく、素直にずりずりと少しずつ後ろに下がってくるのを掛け声と共に見ていると、
「オーライ、オーライ、オー……いぃぃいいっ!!」
身体の半分ぐらい降りたところでずるっと一気に落ちてきたから、思わず手を差し出してしまった。
足をぶつけるギリギリでキャッチできたようで、受け止めた身体は力の入ってない全体重で思っていたより重い。
『細く見えたけど……男だしな』
「おい、大丈夫か?」
前身を自販機で擦ってしまったんじゃないかと身体をひっくり返すと、酔っ払ってぐにゃぐにゃしたまま土方は凭れ掛かってきた。
そしてぎゅーっと抱きつくと、肩のあたりに摺り寄ってくる。
「ちょっ……おいっ……」
「……くさっ…風呂には毎日入れよ…近藤さん……」
「近藤じゃねーしっ!風呂も毎日入ってますぅ、銀さんこう見えてもキレイ好きだからっ!!」
「ふふふ」
分かってるんだか分かってないんだか、土方はご機嫌そうに笑うとまた眠ってしまった。
今度は揺すっても怒鳴っても起きなかったので、銀時は仕方なく背負ってやる。
散々な1日だった。
美味しいものが食えると思ったら劇物だったし、真選組との対決で花見どころじゃなかったし、飲み比べなんかしたから一気に酔って記憶はないし。
1人良い気分のまま酔っ払って寝ている土方はむかつくし、おまけになんか可愛いし。
「………ちっ………」
舌打ちしながら、なんだか気分の良い銀時だった。
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原作…土方登場!私服バーン!はだけた胸バーン!……って感じでしたね(笑)
アニメでは隊服だったんで残念でした。
あ、銀さんはちゃんと屯所まで送ってますよ、ヘタレなんで。
よそ様の銀さんみたいに、万事屋に連れ込んでイチャイチャなんて甲斐性はありません(笑)
でも、土方可愛いもんね、お持ち帰りしたくなるよね。