原作設定(補完)
□その1
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♯1
作成:2015/04/06 修正:2015/11/21
一仕事終えて家路をだらだら歩いていた銀時の目に、見慣れた制服が飛び込んできた。
彼らが大勢集まっているときはなにか騒ぎがあったときだが、ギャラリーが疎らなところを見るとどうやらそれは収まりつつあるらしい。
もともと野次馬精神は希薄なので通り過ぎても良かったのだが、足をそちらへ向けたのは求めてやまない後ろ姿があったから。
一仕事終えて気の緩んだ背中にそっと近付き、
「多串くんっ」
と声をかけ、見た目よりも細い腰をぎゅっと抱きしめる。
「何してやがる、このクサレ天パァ!!」
と怒鳴られた上に、殴られたり蹴られたり斬りかかられたり。そんな物騒な反応が返ってくるのを待っていたが、今日はなぜか無かった。
『この抱き心地は間違いなく多串くんだけど?』
人違いしたかと思ったが、
「……それで?」
と頭上で発せられた声は確かに土方だった。
「え?あの…」
話しかけた相手はどうやら銀時ではなく目の前にいる隊士だったようで、動揺している隊士にいつもの落ち着いた声で促す。
「報告の続き」
「あ、はい」
ならば怒られないのを幸いに銀時は背中にぴったりと擦り寄ってみた。
見えなくても密着した肌から、煙草を取り出し火を点け、深く吸い込んで吐き出すのが伝わってきた。
それから隊士からの報告に対してあれこれと指示を出す。
「あとは、片付いた隊から撤収。以上だ」
「分かりました」
立ち去る足音。
二人きりになり、どうやら機嫌が良いらしい土方の甘い声…を期待したのだが、当然そんなものはあり得なかった。
煙草をもう一度大きく吸い込み指先でくるりと回すと、ぴったり腰に貼り付いた腕にじゅっと押し付けた。
「……んぎゃあぁぁおうぅっ!」
背後で奇っ怪な叫び声を上げた銀時に、肺に吸い込んだ煙をゆっくり吐き出しながら振り返る。
「何してやがる、このクサレ天パァ!!」
「遅っ、キレんの遅っ!」
「仕事優先だコラァ!」
「だからって根性焼きとかあり得なくね?警察がこんなことしていいのかよっ」
「セクハラ撃退しただけだ」
「セクハラじゃないですぅ。多串くんの後ろ姿見たらムラムラきちゃって」
「セクハラじゃねーかっ」
銀時は拗ねながら、灰で汚れ赤く腫れた腕をぐいっと差し出す。
「完璧ヤケドじゃん、どうしてくれんですか」
「舐めときゃ治るだろ」
そう言われるだろうと予測した上で、ちょっと可愛い(つもりの)顔でおねだり。
「………舐めて?」
「てめ…」
怒鳴られるだろうなと分かってて言ってみたのだが、差し出された腕のヤケドが思ってたより痛々しかったのか、土方は黙ってしまった。
そして銀時の腕を掴んでふーっと息を吹き掛け灰を飛ばした後、ヤケドに唇を寄せた。
「…っ…」
土方の舌がヤケドをなぞるとピリッとした痛みが走ったが、念入りに何度か繰り返されるうちに慣れてきた。
まさか本当にやってくれると思わなかった銀時は、勝手に『俺って愛されてるぅ』と嬉しくなる。
「ほら、これで治ったんだろ」
「……」
「おい?」
じっとヤケドを見つめてた銀時は、はむっと自分の口でそれをふさいで舐めた。
ついさっきまで土方が舐めていただけに、かなり変態チックな間接キスと言える、かもしれないので、
「へ、変態ぃぃいい!!」
真っ赤になって叫んだ土方に殴られたのも仕方なかった。
おまけ
その日の屯所、隊長たちの会議で沖田がもの申す。
「副長が往来で人目もはばからずイチャイチャしてると苦情がでてやす。隊士の目に毒…てーか、俺的には気持ち悪いだけなんで、やめてくだせぇ」
「……イチャイチャなんてしてねー」
「…してると思う人、挙手〜」
みんなに手を挙げられてしまい、
「……気を付けます」
苦虫を噛み潰したような顔でそう答えるしかない土方。
翌日の午前中、万事屋。
非番の土方が押し掛けてきて、銀時の髪の毛をがーーっともふる。
「てめーのせいでいらん恥をかいたじゃねぇかぁぁあ!」
「もふんなっ!アレはお前がしでかしたんだろーがっ」
「舐めろって言ったのはお前だろっ」
ぎゃーぎゃー言い合ってる二人を見て新八は、『イチャイチャすんのやめてくんない』と思うのだった。
おわり
なぜ記念すべき一作目にコレを持ってきたんだったかな(笑)
過去CPの受がみんな可愛い系だったので、
気を抜くと可愛くなってしまう土方を、
なんとかツンデレにしようと頑張った話です。
銀さんもSが垣間見える、
私の作品で一番“理想の銀土”(笑)
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