原作設定(補完)

□その53
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大江戸マート。

「え? チョコを買うのか? チョコ作るのに?」

「当たり前アル。カカオから作るとでも思ってたアルか」

『じゃあなんで失敗したんだ?』



万事屋。

「うわっ、コゲ臭っ!! なんかコゲてるぞ!?」

「チョコアル」

「あ?」

「溶かそうとしたらコゲたアル。説明がよく分からないネ」

「……どれ……湯煎にかける、って書いてあるぞ」

「ゆせん、って何アルか?」

「………えっと……写真を見ると……鍋に湯を沸かして、と。チョコは刻んだほうが良いみたいだぞ」

「きざむ?」

「……粉々に砕けってことだ」

「それなら得意アル!」(ガンガンガン)

「そしてソレを……こっちに入れて湯の上に…………お?」

「溶けたアル!!」

「溶けたな」

「焦げないネ!! トシ、すげーアルな!!」

「いや……本に書いてあるしな……で? どういうチョコにするんだ?」

「銀ちゃんにはこっち、新八にはこれにしたいアル!」

「ん……まあ、やってみるか」



「きゃほぉぉぉう! できたアル!!」

完成したチョコをテーブルに並べ、神楽は満足気な声を上げた。

大喜びするには不恰好すぎるチョコだったが、一生懸命だった姿を見ているので土方も嬉しそうに笑う。

「良かったな」

「あとはカードも付けるネ。トシも書くヨロシ」

「あ?」

神楽はメッセージカードらしきものを取り出して土方にも差し出すが、土方は微妙な顔で拒んだ。

「……いや、俺は、いい」

「なんでアルか。トシも手伝ってくれたって知ったら銀ちゃん喜ぶネ」

「知らなくていいんだよ。アイツには言うなよ」

「……分かったネ」

渋々という顔だったが承諾してくれたので、土方は後片付けまで手伝ってから万事屋を出た。

銀時とは"好き"という言葉もなしに始まって続いている関係だったので、今更チョコなんて渡せない。

それに甘い物好きなら銀時からチョコを所望されるのがテッパンなのに、それをされないということは銀時だってそう思っているはずだ。

自分が手伝ったとは知らずにチョコを上手そうに食べる銀時、を想像してほくそ笑むだけで十分な土方だった。


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