原作設定(補完)

□その53
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#529

作成:2020/03/04




玄関の呼び鈴が鳴ったので、銀時はちらりと時計を見てから立ち上がる。

"誰"が押しているのか分かっているので、銀時はのんびりした足取りで玄関へ行き、間延びし声で扉を開けた。

「はぁい、はいはい」

扉の向こうには案の定の男が立っていたが、その顔を見て銀時は眉間にシワを寄せる。

「……何そのツラ」

土方はとても情けなくすまなそうな顔をしていて、

「俺との約束をドタキャンしたときもそんな顔してくれませんかね」

「てめーは諦めろ」

銀時に皮肉に素っ気無く言ったあと、ちらりと銀時の背後の部屋を見て言った。

「……チャイナ、怒ってるか?」

「んー? ……まあ、土方くんの分の料理をギリギリまで死守するぐらいには、待ってたみたいだからねぇ」

素っ気無く返されたおかえしにチクリと言ってやったら、土方は本当に落ち込んでしまった。

今日はひな祭り。

女の子のお祭りだと聞いた神楽は、そういう可愛いお祭とは縁遠くなっていたお登勢らを巻き込んでささやかなパーチーを催した。

銀時と恋仲になって万事屋に出入りするようになった土方も、当然お誘いの対象となったのだが何せ銀時のとのデートもままならないことも多いわけで。

だが憎まれ口をたたいてるときはともかく、普通にしていると神楽はなかなか可愛い子供なのだ。

「遅れても特別許すから……来て欲しいネ……私の……初めてのひな祭りアル」

珍しくしおらしく、モジモジしながらそう言われたら、

「分かった。なんとかする」

と言ってやるぐらいには、可愛いのだ。

その時も、その後に神楽がにやりと笑って「チョロいアル」と言ったのも、見てた銀時としては内心で溜め息。

チョロ方くん、本当にチョロすぎる。

心配したとおりにパーチーには間に合わず、すまないと思うあまりに、もう夜遅くだというのに手土産持参で駆けつけたわけだ。

土方が来たのに姿を見せない神楽に、

「……チャイナ、もう寝たか?」

「いや、起きてるんじゃねーかな」

「……そうか……」

そんなに怒らせてしまったんだな、と猛反省でしょんぼりしてしまう土方。

自分にはそんな顔をちっとも見せないけれど、そういうところも可愛いと思うので仕方ない。

銀時はすぅと息を吸うと、

「あーあ、土方くんってば情けなくて、すまなそうな顔しちゃってさー、ものごっさ反省してんだなーあ」

わざとらしく大きな声でそう言った。

急になんだ、と土方がきょとんとしていると、台所からそーっと覗くように神楽が顔を出す。

土方が急に来て出るタイミングを逃したままずっと台所に隠れていたらしい。

銀時が大声で土方の様子を知らせてくれたので、気になって覗いてみた、というわけだ。

「チャイナ」

「き、来てくれたから許すアル。来年はちゃんと来るヨロシ」

照れくさそうにそう言った神楽に、土方は嬉しそうに笑った。



おまけ

「はいはい、万事屋銀ちゃん」

「万事屋? 今日は無理だ、悪い」

「……ちょっとは申し訳なさそうな顔してる?」

「してるしてる」

「してなさそー。愛がたりなぁい!」

「……大丈夫だ、ちゃんと愛してるから」

「……はぁぁぁ!!?」

ツーツーツー

「切れてる!! 言い逃げ!? コラァ!!」


 おわり



土方と神楽の組み合わせが可愛くて好き。
でも何か銀土っぽいのをおまけにしたくて考えたのに、
全然銀土っぽくないセリフが出てきてしまいました!!
両名ともめっちゃ赤面していると思われます!!(笑)

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