原作設定(補完)

□その53
16ページ/25ページ




銀時はむくりと起き上がり布団の上に正座して改まり、これからのことを長考することにした。

『……となれば、俺がすべきことは……告白してフラれて諦めるか、告白もせずに諦めるか……どっちにしろ諦めるんかーい! ……一人ノリツッコミしてる場合じゃねーよ……』

真剣に悩んでいてもふざけてしまうのは悪い癖のようなものだ。

自分がこんなことで"悩んでいるという事実"が恥ずかしい、せいでもある。

溜め息をつきつつ真面目に考えようとするのだが、

『でも現実問題、結婚する気の男が男に告白されてOKするはずもねーし……無駄に悩ませちまうより知らずにいるほうがアイツのためだよな……そんで教会の一番後ろの席でアイツラを見ながら、くたばっちまえアーメン、と……って、昭和ネタかよ! 若い人は分からねーだろ!』

やっぱりふざけてしまうので、だんだん開き直ってきてしまった。

『つーかさ……俺だけ一人諦めてモヤモヤしてるってヒドくね? 何度もエッチしてんだから、多少の恨みつらみは土方だって知るべきだよね? じゃないと俺のこの気持ちが可哀想だよな…………うん! 決めた! 告白してやる!! フラれようが怒られようが嫌われようが当たって砕けてやる!』

そう決めたらならあとは方法だ。

『やっぱりいつもの居酒屋で会ったときかな……待てよ……フラれたらもう二度とエッチできないんだから、ヤッてからのほうがいいか……いや、逆にヤッちゃった後にフラれるって、もっと寂しくならねーか……やっぱりヤッた後はダメだ……でもなぁ、土方が先に居酒屋に着いてて飲み始めててると、酔っ払ったアイツってものごっさエロイんだよなぁ……あの顔見てるだでムラムラちしまうのにヤラずに帰るってのも勿体ない気がする』

"当たって砕ける"と明言しながらも、未練がましいことを考えてしまう。

そんな自分に気付いてブンブンと頭を振った。

『いかん、やっぱりいつもの居酒屋ではダメだ。となると、いっそのこと屯所に乗り込んでみるのはどうだろう。アイツの部屋でなら告白してフラれても人目につかず…………いや、誰かが覗いてたり聞き耳たててたりしそうだ……誰とは言わないけど……土方が困りそうなネタを探してる誰かとか……』

土方はフッても怒ってても、告白されたことを誰かに話したりしなさそうだ。

だから銀時が土方にフラれたことを誰にも知られることはなく、余計な恥をかくことも、哀れみを押し付けられることもない。

が、屯所の誰かさんに知られてしまったら、翌日にはかぶき町の全員に知られてしまうだろう。


.
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ