原作設定(補完)
□その51
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#510
作成:2019/12/25
「……はぁ……クリスマス、か……」
"え? 確認してないんですか? でも旦那ってそういう行事事には敏感、というか、カップルの行事に期待しすぎ、というところないですか? 絶対にクリスマスも考えてると思いますけど"
「……だよな……お互いの誕生日、バレンタイン、ホワイトデー、花火大会に会いたがったヤツが、クリスマスをスルーするわけねーよな……だけど……仕事だしなぁ……無理だって言うしかねーよな……」
「うぃーす」
「お、おう」
「寒い寒い。親父ぃ、俺にも熱燗と……おでん、適当に。ん? 多串くん、飲んでる?」
「の、飲んでる」
「そ? (マヨネーズで埋まってるけど)おでん、冷めちゃうよ」
「…………よ、万事屋っ」
「ん?」
「……あ、あのな……クリスマス、なんだけど……」
「クリスマス?」
「悪い、仕事が入ってる」
「…………」
「抜けるのも無理だ。だから……別の日に振り替え……は意味ねーのは分かってるが、どうにか……」
「ご、ごめん!!」
「……あ?」
「気にしてくれてるとは思ってなかった! まあ普通に仕事だろうな、って思ってたし、俺もクリスマスは仕事なんだ!」
「……仕事?」
「最近は"お父さん"や"恋人"がサンタクロースをやる時代じゃないんだよ、知ってた? 人を雇ってサンタやってもらって、パーチーしてるところへサプライズで登場させるのが流行ってんの。そんなことにけっこうな金を出してくれるから、オイシイんだよねー」
「……へえ……」
「けど、うちじゃ俺しかサンタできねーじゃん。だからイブとクリスマスは忙しくて……ごめん、言っておくべきだったな」
「いや、だったらいいんだ」
「……だけど、まあ、"別の日に振り替え"ってのはやぶさかでないはないけどねー」
「ふっ……分かってる」
『……ホッとしたけど……それはそれで寂しいと思うのは、俺の我が儘だよな……』
24日、深夜。屯所。
「……あー……疲れた……」
『もうこんな時間か……アイツ、まだ仕事してんのかな……サンタの代わりなら夜が本番っぽいもんな……電話ぐらいって思ってたけど、寝てるならそれはそれで邪魔したら悪ぃし……明日にするか……』
副長室
「ZZzzzzzz」
「………………………って、何してんだコラァ!!」
「はっ!! あれ? 俺、寝てた?」
「ちゃっかり布団敷いておいて何しらじらしいこと言ってんだ!」
「だって寒かったんだもん。それに布団温めておいたら多串くんも助かるじゃん、"信長の草履"的な」
「だもん、じゃねー。おめーがいちばん暖まってんじゃねーか」
「多串くんの帰りが遅いから寝ちゃっただけですぅぅぅ。良い布団使いやがってコノヤロー!」
「どこにキレてんだ。つーか、何してんだ? 仕事は終わったのか?」
「あ、まだ仕事中」
「はあ? じゃあ尚更、こんなとこで……」
「だから、これが仕事。はい、どーぞ」(布団めくり)
「あ?」
「この前会ったとき、"寂しいなー、サンタさん俺のとこにも来てくれねーかなー"って顔してたから、かぶき町坂田銀時さんの依頼で、真選組土方十四郎さんのところにサプライズサンタでぇす」
「……べ、別にそんなこと思って……」
「まあまあ、もう来ちゃったんだから受け取ってくださーい」
「……仕方ねーな……」(上着だけ脱いで布団に入る)
「暖かいでしょー。俺の"信長の草履"大正解」
「てめーが寒かっただけでたまたまだろうが」(言いつつ、ぎゅーっと)
「ひひひ。メリークリスマス、多串くん」
「……メリークリスマス」
おわり
ふと浮かんで書いた話だけど、割りとちゃんとオチがついた。
家族でイチャイチャもいいけど、二人でイチャイチャも、もちろんいい!(笑)