原作設定(補完)

□その51
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そう言われてもさっきの女性たちが言っていたことが気になるわけで、なんとか誤魔化そうとする銀時だったが、

「し、してない……ほら、パフェも食ったし……食いすぎちゃ、ほら、あれだろ……」

そんなことは露知らずの土方にぐさりと来ることを言われてしまう。

「ふっ、何、女みてーなこと言ってんだ」

「!!!? どっちにしても女っぽいの!? どうしたらいいんですかコノヤロー!!」

「……あ?」

ショックを受けて叫ぶ銀時に、"何があったのか"を白状させることができた。

隣のテーブルに座っていたという女性たちの会話の内容に、土方は呆れた溜め息を漏らす。

「……くだらねー……」

「くだらなくありませんんんん! 銀さんの股間にかかわることだから!!」

「……沽券だろ」

「似たようなもんだろうが! 大事なことだから! 沽券も股間も!」

まあ、今回の場合は似たようなものと言えないこともない。

が、人が少ないとはいえ、真昼間のファミレスで力説することでもない。

銀時を宥めて土方はもう一度溜め息をつく。

「分かったから落ち着け。じゃあそのコカンのコケンとやらはどうやったら守られるんだ」

話を合わせてくれる土方に、銀時はもじもじしながら答えた。

「そりゃあ……婚姻届の"夫"のほうに俺の名前を書きたいなぁ、って」

「……同性婚が認められたんだ。記入欄に夫も妻もないぞ」

「雰囲気の問題ですぅぅ。ほら、名字の問題もあるし、どちらかといえばこっちが"主"ってのがあるじゃん」

「名字でいえば"土方"のほうがカッコいいだろ。"坂田"って……普通っぽい」

「おまっ、全国の"坂田"さんをバカにしたな!? 曳いては多い名字ランキング上位の"鈴木"さん"佐藤"さんをもバカにした!」

「いや、バカにしてねーけど……普通だろうが」

「名字はダメだ! ストレートに強い方でいいだろ!」

「あ? 俺がてめーより弱いっていうのか」

「実際、負けたじゃん」

「あんときは……初手合いだったからちょっと……油断しただけだろうが」

「負けは負けですぅ。それに初手合いで油断とか、侍としては命取りじゃね?」

「……分かった。今度は本気でやってやる。負けたってぜってー言わねーからな」

「ちょっ、待った待った、こんなところで抜刀しようとすんのはやめ
てくださーい」

久しぶりに見る怖い目つきで刀に手をかけて立ち上がる土方を、銀時
は慌てて止める。

言い過ぎて怒らせてしまったようだが、土方なら本当に死ぬまで"負けた"とは言わなそうで怖い。

「つーか、本気でこられても俺が土方くんを斬れるわけないでしょー、もう」

「俺はてめーを斬れる」

「でしょうね。揺るぎなくて嬉しいよ」

"土方らしい"とは思いつつもしょんぼりする銀時に、土方の気も済んだらしく刀を収めて座り直す。

本当は土方的にはどっちが"主"とかどうでもいいのだが、銀時がうやむやにしてくれなさそうなので話を続けた。

「じゃあ、どうすんだ。何で決める? 収入か? 社会的地位か? 部下の数か? 知名度か?」

「それじゃあ全部おめーになっちゃうでしょうがっ。ハッ! もしかして土方くんもソッチがいいの!?」

「ソッチ?」

「お、俺を……だ、抱きたい?」

「それはねー。無理」

「ねーのかよ!」

それが望みとはいえきっぱりと即答されるとそれはそれでショックなものだ。

無理とまで言われて不満そうな銀時に、銀時にとってソレは重要なんだな、と土方は小さく息をつく。

「てめーがソッチで決めたいっていうなら……別にそれでもいいけど」

「!? いいの?」

「……てめーはそうしてーんだろ」

"男として"もっともめるかと思ったのだがあっさり引いてくれた土方に、銀時はぱーっと嬉しそうな顔をした。

土方が本当に"どうでもいい"と思っているわけじゃなく、相手が自分であるからどっちでもいい、と思ってくれていることを察しているからだ。

が、嬉しそうな銀時に"言わなくていいこと"は飲み込んだ土方。

『ヤリてーてんならどっちでもいいけど……仕事で疲れてようやくの非番に"抱く"のは余計に疲れそうだなー。コイツにヤラせておけばマグロでも文句言わなそーだし、それですっきりして気持ち良いなら楽でいいよな』

そんないまいちヒドイことを思われてるとも知らず、

「らしくしなくていいなら甘いもの食べたくなっちゃったなー。頼んでもいーい?」

「……好きなもん追加しろって言ったろ」

「はーい」

満足そうな銀時に、土方も良いことをした気分になる。

結婚なんて面倒なだけだと思ったけれど、こんな風に仕事を離れたらのんびりする相手や場所があるのはいいな、とほっこりするのだった。



 おわり



思いの他、長くなってしまいました。
土方の見合い話に銀さんの写真が送られてくる、というネタを思いついただけだったのに。
めずらしく"どっちが攻め"かというネタまで盛り込めて良かった。
まあ銀土サイトですからね、逆は絶対にないんですけど(笑)

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