学園設定(補完)
□同級生−その5
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#107
作成:2019/10/08
「10日……親、帰ってくるの遅いから……家に来ないか……」
十四郎からそう言われてドキドキが止まらなくなった。
普通の友達だったら、ただのお家へのご招待だけれど、俺たちは"普通の友達"じゃなかったからだ。
生まれたときから隣同士の家で育った十四郎を、俺は物心ついたころから好きだった。
素直で可愛い小さい頃も、気が強くて口うるさい今も、変わらずに好きだ。
はっきりその気持ちを伝えたことはないけれど、きっと十四郎は知ってる。
知ってて変わらずに仲良くしてくれる意味も、十四郎の気持ちも、いつか知りたいと思っていた。
そんなときに十四郎に誘われたのだ。
しかも恥ずかしそうに顔を赤らめている。
『ええええぇぇ!? コレってそういう意味!? そういうお誘い!? まじでか!!!』
10日は俺の誕生日だ。
その日に十四郎の気持ちを教えてくれるのか。
親が居ないということは、居たらできないことをしてくれるというのか。
想像と妄想と期待で俺は胸を膨らませて当日を迎えた。
十四郎の家に行った俺は、
「銀時! 誕生日おめでとう!!」
という"大勢"の声とクラッカーで出迎えられて呆然とする。
部屋には仲の良い有人たちが大勢。
呆然とする俺に"サプライズ大成功"という顔をしているが、んなわけねーだろ!!
ガッカリして呆然としているだけなんだよ!!
泣きたい気分で十四郎を見たら、
「今日は甘いものたくさん用意したから、好きなだけ食っていいぞ」
なんて嬉しそうに笑っている。
俺が食いたかったのはお前なんだよ、可愛いなちくしょー!
そう叫びたいのをぐっと堪え、
「うん。みんな、ありがとうな」
ちゃんと礼を言えた俺はエライ。
それからみんなと楽しくお誕生日会。
期待はハズレたけど、祝って貰えてそれなりに嬉しいのでいいか、という気分だ。
それから十分楽しんだ後、平日だし、十四郎の親もそろそろ帰ってくるというので、お開きになった。
みんなを見送って、それから改めて十四郎に礼を言う。
「十四郎、ありがとう。お前が企画してくれたんだろ。楽しかった」
内心のガッカリは顔に出さないように頑張ってそう言えた。
俺を喜ばせようとしてくれた気持ちだけで、今は十分だから。
「じゃあ、また明日」
だけど、帰ろうとしたら後ろから肩をつかまれて引き戻された。
そしてそのまま押されて、玄関のドアで背中を強く打つ。
一見華奢っぽい十四郎だけど、意外と力が強いのだ。
「いてっ! 何だよっ、十四……」
「誕生日プレゼントだ」
苦情を言おうとした俺に、十四郎はそう言った。
「あ?」と思うと同時に、十四郎の顔がドアップで目の前に現れ、そして唇に柔らかくて温かい感触。
頭の中は真っ白だったけれど、その感触だけは忘れられそうにない。
長いようにも短いようにも感じた時間のあと、体を離した十四郎は恥ずかしそうな顔で、
「…………じゃあな」
そう言って家の中に入っていった。
俺はしばらくその場から動けず、頭の中でモヤモヤと考える。
『……今の……キス? 十四郎が俺にキスしてくれたの? ソレがプレゼントって……そういう意味? まじでか』
"期待"はハズレじゃなかったみたいだ。
今日はこれで大人しく引き下がってやるけど、明日にでもちゃんと告白してアイツの気持ちも聞いてやる。
覚悟しとけコノヤロー!
そう心で叫びながら、俺はスキップで家に戻ったのでした。
おわり
中途半端な一人称になったな……まあ、いいか。
可愛いイチャイチャが書けたかと思います。
あ? 何か文句がある人がいるようです。
原作銀時「なんで大人の俺たちが何もしないでいるのに、ガキ共はちゅーしてんですかコラァ!!」
銀八「俺もしてないぞ」
Z3銀時「俺だって先生とちゅーしたいぃぃぃぃ!」
来年ガンバレ(笑)