学園設定(補完)

□同級生−その5
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#104

作成:2019/09/17




「ごめんね、十四郎くん。あの子、部屋から出てこなくて」

「いえ、構わないです。お邪魔します」

「じゃあ、よろしくね」

コンコン

「銀時…………おい、入るぞ」

ガチャ、ガチャガチャ

「……銀時、カギ開けろ…………開けろって…………開けねーと力ずくで開けるぞ。ホントにやるぞ」

カチャ

「…………何で来なかったんだ、花火大会」

「…………」

「おい、銀時……」

「おめーには関係ねーだろ」

「あ? 関係ねーわけ……」

「カワイコちゃんとデートだったんだろ? なんでこんな早く帰ってきてんの? 俺んとこなんて来てんなよ」

「……は? なんだよ、それ」

「誤魔化す必要ねーよ。良かったなー。だけど幼馴染の俺に報告してくれねーとか水臭いよねー」

「……はぁ……何を報告しろって言うんだよ」

「近藤たちには話してたじゃねーか、マンションの前で」

「? 近藤さん? 何を」

「花火大会は可愛い子と二人で行く、って言ってただろうが!」

「!! 聞いてたのか? そ、それは……」(赤面)

「……っ……ほーら、やっぱり居るんじゃねーか。ソイツと花火行ったんだろ。だったら俺なんか……」

「ちょっと待て」

「もういいって」

「じゃなくて……つーか……てめー、覚えてねーのか?」

「あ? 何をだよ」

「……は、花火、行こう、って言っただろうが」

「誰が」

「てめーが」

「……いつ」

「先週……の土曜」

「……??……言ってねーし」

「言った」

「??? 言ってない」

「言ったんだよ。部活から帰ってきたら家の前で……やたら上機嫌に"二人で行こう"って」

「え、なに、そのものごっさ具体的な勘違い」

「勘違いなんかするかぁぁ!! 赤い顔してモジモジしながら言ったんだよ!」

「んなわけねーよ。先週はずっと夏風邪っぽくて金曜はとくに具合悪くて、母ちゃんの玉子酒飲んですぐ寝たし」

「夏でも玉子酒かよ。子供んころからすげー甘い玉子酒飲んでたもんな」

「それがさ、母ちゃんの目を盗んでこっそり酒を増量して"玉子酒の酒割り"飲んだらけっこう美味かっ………あれ? そういえば、飲んだあと朝まで記憶が……」

「………酔っ払ったのか?」

「……かも……」

「……そうか。分かった。だったら、てめーは何も悪くねーな。じゃあ、俺は帰……」

「ちょっと待て」

「いや、もういいから」

「待てっつの。だったら十四郎が花火に行くって言ってた相手って俺?」

「……ち、違う」

「近藤たちに言ってた"可愛い子と二人で行く"って俺のこと?」

「……んなわけねーだろ、何言ってんの、おまえ」

「とーしろー?」

「……っ……こ、高校別になってから付き合いの悪くなったてめーが、ガキん頃みたいに"花火に行きたい"ってお願いするから、昔のてめーは可愛かったなぁとか……思い出しちまっただけで……」(真っ赤)

「…………」

「それだけだよ! もういいだろ! 酔っ払いの戯言なんか真に受けちまって!」

「いや、なんもよくねーから」

「なにが…………銀時?」

「こ、高校別になって付き合い悪くなってたから……言えなかったことを、酔っ払ってたせいで言っちゃった、わけで……戯言とかじゃねーし……」(真っ赤)

「…………花火、行きたかったのか?」

「……うん」

「俺と2人で?」

「……うん」

「…………」

「…………」

「……じゃあ……別の花火大会、は、行ける、か?」(照れ)

「……うん」(照れ)



 おわり



…………あーあ。
花火、見ないで終わっちゃったな……
ま、いいか。この後、見てるし。
花火ネタ、オールクリアです。楽しかった。

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