学園設定(補完)
□逆3Z−その5
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#97
作成:2019/04/29
「……坂田。いい加減、あきらめて帰れ」
「いやでーす」
「GWなのに急に家に来たって迷惑だ」
「でも入れてくれたじゃん。追い返しても良かったのに」
「……それは……去年卒業した生徒が訪ねてきてくれたら、無下にするのも可哀想だろうが……」
「だったら俺のお願いだって無下にするのは可哀想じゃね?」
「……だから、それは嫌だと言ってる」
「1年も待ったのにぃ?」
「……それは、お前が勝手に言ったことであって、俺は了承してない」
「だったらあのとき、はっきり言えば良かったじゃん」
「……それは……お前が進学を決めたばかりだったし……やる気を無くしたらマズイと思ってだな」
「ふーん。で、大学生になったら諦めるだろう、とか、忘れるだろう、とかで無かったことにできると思った?」
「…………」
「でも残念でしたぁ。その"約束"のために必死になって頑張ったんだから、諦めたり忘れたりするわけありませぇぇぇん!!」
「……自分のために勉強しろよ」
「自分のためだよ。だって、もう限界だったし」
「…………だからって……」
「つーか、先生ももう諦めね?」
「……何をだ」
「俺だって、1年も経ってるし、何の根拠もなしに来たわけじゃないんだよねー」
「何の根拠だ」
「先生の誕生日って、毎年、ゴリ先生たちが祝ってくれてるんだって?」
「……そうだ」
「だけど今年は"用事があるから"って当日は断ったんでしょ?」
「……それがどうした」
「だったら俺のこともそう言って追い出せばいいのに、なぁんでか一言も言わないよねぇ」
「……べ、別に言う必要は……」
「用事って俺でしょ?」
「……っ……」
「俺が1年前のこと覚えてて家に来るかもしれないからって、出かけもせず待っててくれたんでしょ?」
「……か、考えすぎだ」
「そんで、俺が本当に本気で真剣なのか、"帰れ"とか"諦めろ"って言って諦めちゃう程度なのかどうか確かめたかったんでしょ?」
「……ち、違……」
「忘れてないし帰らないし諦めてないよ。だから1年前に言ったこと、本気で考えて?」
「…………」
「答えが決まってるなら、はっきり言って。それに従うし」
「………だろ……」
「ん?」
「そこまで分かってんなら、言わなくても分かってるんだろうが」
「イヒヒ。でも先生がちゃんと言ってくれたら嬉しいなぁ」
「…………俺は……」
1年前。
「土方先生! 俺と付き合ってください!」
「……坂田? 何を……」
「先生のことを本当に本気で真剣にめっちゃ好きです! だからお願い! 俺のものになってください!!」
「……お前な、そんなこと……」
「待って!! 嫌な返事は今は聞きたくない!」
「あ?」
「心の準備が必要だから、1年後! もう一回言うからそれまでじっくり考えて!」
「ちょっ……」
「俺、頑張るから! その姿を見てからマジに考えてくださいっ!! じゃあね!!」
「お、おい…………ったく……言いたいことだけ言って逃げやがった…………1年後? まじか……」
おわり
っていうなんてことない話。
坂田の頑張る姿を見て、だんだんほだされていく土方先生。
学生設定だと、坂田が素直で可愛いよねぇ。
ヘタレでアホで攻めっぽくないけど(笑)