学園設定(補完)
□逆3Z−その5
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#103
作成:2019/09/07
「花火大会行きたい!!」
「……花火?……」
「"2人きりで外じゃ会わない"ってのずぅぅぅぅぅぅぅっと守ってんだから、お願いぃぃぃぃぃぃ!!!」
「…………」
「イチャイチャしたいとかベタベタしたいとか言わないし、誰かに見つかったら"偶然会っただけですけど何か?"っていう顔するから!」
「……かった」
「……え?……」
「行く」
「まじでか!」
「まじだよ」
「ありがとう、先生!!」
教え子にしつこく何度も何度も何度も告白されて、その度に断る面倒くささと、そこまで粘り続ける気持ちに興味が湧いて、お付き合いすることになった教師:土方十四郎と生徒:坂田銀時。
当然ながらにいまだプラトニックな関係で、交際しているのも非公表。
バレないために2人きりで会うのは学校で、しかも休み時間とか放課後の短い時間だけという毎日だったけれど、銀時はそれでも良いと言っていたけれどやっぱり不満だったらしい。
だから必死にお願いされたし、花火大会ぐらい人がたくさんいるところなら生徒と2人でも誤魔化しがきくかな、という軽い気持ちで了承してやった。
が、花火大会数日前
"台風のため花火大会中止"
「なんでだぁぁぁぁぁ!!! せっかく先生が行ってくれるって約束したのにぃぃぃぃ!」
携帯でイベント情報をチェックしていた銀時が、悲壮感たっぷりの雄たけびを上げる。
数日前から台風情報が流れていたので、そうなるかもしれないな、と土方は予想していたのでガッカリ感はなかった。
「仕方ねーだろ、台風直撃コースなんだから」
「だって……だって……」
しょんぼり丸出しの顔で携帯の画面を未練がましく見ている銀時に、土方は溜め息混じりに言う。
「また来年行けばいいだろうが」
「……そう、だね……」
情けない表情でそう答えた銀時に、土方はそれ以上言えなくなった。
銀時は"来年の約束"を嫌う。
「来年なんてどうなってるか分かんないんだから約束なんて無意味」
付き合うずっと前にクラスメイトとそう話しているのを聞いて、なるほど、と思いつつ、ガキのくせになんて夢のないヤツなんだ、とも思った。
高校生なんだからもうちょっと未来への希望とかかあっても良さそうなものなのに。
しかし土方も割りと淡白なほうなので、先のことまで綿密に計画されたり語られたりするのは苦手だったから、銀時がそんな話をしないのは気楽でもあった。
なのに、あまりにがっかりしている銀時についそう言ってしまい、余計にがっかりさせてしまった気がする。
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