原作設定(補完)

□その50
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銀時が見守る中、土方はぱちっと目を開け、

「……喉、渇いた……」

そう呟いたので、銀時は笑って頷くと水を取りに行く。

時計を見たらだいたい2時間経っていて、想定どおりの時間で済んでくれたことに安堵した。

エロ魔人な土方に大いに興味はあるけれど、しばらくまともに働くこともできなくなる。

真選組で役に立てない自分に落ち込む土方を見るぐらいなら、いつものツンデレカマトトウブ方くんのほうがマシなのだ。

なんてこと考えながらペットボトルの水を持ってきたら、土方は疲れた顔でベッドの上に座っていて、

「大丈夫か?」

「ん」

差し出された水をゴクゴクと飲みだす。

その様子にホッとしながら念の為の話をしようとしたのに、

「薬の効果はほとんど消えてると思うけど油断は……」

土方は空になったペットボトルを後ろに放り投げると、『あ』とそっちに注意を向けた銀時にするっと手を伸ばす。

そしてまた強引に唇を重ねた。

たださっきの薬に浮かされたようなキスでなく、丁寧にじっくりゆっくりなソレに"土方の意思"なのだとは分かる。

おまけに体を離したあと、

「……薬抜けた……したい」

と切なげな目で見つめられた。

エロいデレに吐血寸前の銀時だが、

『まだ完全に抜けてねぇんじゃね? これっ』

と薬の効果が微妙に残っているかもしれないという疑惑に、せっかくのおねだりに応えるわけにいかなくなった。

ぐいっと土方の肩を掴んでそれ以上の接近を阻止すると、

「や、やっぱりすぐは無理だろっ。そ、それに? ゴリさんも心配してんじゃん? 電話何度もかかってきたしっ」

もっともらしいことを言って気を反らす。

薬の効果を我慢している間になんとなく聞えていた携帯の着信音。

懐から携帯を取り出し、近藤や山崎からの履歴を確認した途端に"自分の立場"を思い出したらしい。

土方は溜め息をついて携帯を戻し、

「……戻る……」

そう言ってベッドから降りて乱れた服装を正した。

さらに任務中で財布は持っていないもののイザというときのための"隠し金"を、上着の内ポケットから出して銀時に差し出す。

こんな状況でも銀時の懐の心配をする土方のフォロ方さんぷりに感心しながら、"助かる"と思って半笑いで受け取ろうとする銀時の手はしっかりと掴まれた。

そして土方は気恥ずかしそうに、

「………じゃ、明日」

可愛くそう言うので、銀時も必死に今すぐ抱き締めたくなるのを我慢してうなづく。

「わ、分かった。明日な」

そう応えた銀時に嬉しそうに笑った土方だが、すぐに表情を"真選組の副長"に戻すと普通の足取りで部屋を出て行った。

残された銀時はへろへろっとベッドの上に倒れこみ、

「……あー、もったいね」

とごちるのだった。



おまけ

「……昨日は、悪かった……」

『いつもの土方だ』(ホッ)

「あー……こっちこそ悪ぃな。お前があんなかわいく"してくれ"ってお願いしてくれたのに、やってやんなくて」

「……て、てめー」(真っ赤)

「(笑)」



 おわり



本当は、付き合ってるけどHはまだ、という設定でした。
薬の効果は今回の話用につけた設定で、
"初めてのHなのに媚薬使用はちょっと……"と止める話だった。
そこを変更したらちょっと短くなっちゃったけど、
"H済み+媚薬"でもヤラないうちの二人が可愛いので満足です(笑)

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