原作設定(補完)
□その50
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#499
作成:2019/10/21
誕生日当日。
銀時はこの歳にして、まさかこの日をこんなに楽しみにするなんて、思いも寄らなかった。
まあ新八と神楽が祝ってくれたり、下の店のババアがちょっと気前良くなってくれるのはもちろん嬉しいのだけれど、"好きな人"に祝ってもらうのは特別だ。
もちろん忙しい土方のことだからドタキャンも覚悟はしているものの、今朝、それから昼にも連絡がきて、「大丈夫だ」と言われたので期待いっぱいで待っていた。
自分の誕生日だけれど酒のつまみは自分で用意したし、あとは酒とケーキと土方が来るのを待つばかり。
そして約束の時間ぴったりに玄関の呼び鈴が鳴った。
時間丁度に来るなんて土方らしいし、銀時は満面の笑みで玄関を開ける。
私服姿で"お疲れ"が顔に出ている土方が立っていて、
「いらっしゃい、土方くん!」
という銀時の出迎えに、
「誕生日おめでとう、坂田氏ぃ!!」
にっこりと笑って"土方"はそう答えた。
一瞬時間が止まった銀時だったけれど、へろへろとその場に崩れ落ちる。
「な、なんで、お前だぁぁぁぁぁぁ!!!」
楽しみにしてたのに、ものごっさ楽しみにしてたのに、トッシーは土方であって土方じゃないのだ。
大の大人なので泣きはしないけれど、泣き出したい気持ちの銀時の横にトッシーは無邪気な顔でしゃがみ込む。
「ヒドイでござる。坂田氏の誕生日だって十四郎が頑張ってたから来てやったのにぃ」
「……その土方くんはどうしたんだよ。昼間では土方くんだったろうが」
「十四郎は、今日のためにずーっと頑張っていたでござる。寝る間も惜しんで頑張ったから、仕事が終わって気が抜けて、出かけるまえにちょっと休んだだけなのに、時間になっても全然目を覚まさないんだよね〜」
「お、おい、大丈夫なのか?」
「寝てるだけだけど、鳴りっぱなしの目覚ましに他の連中が集まってしまってね。心配して病院に連れて行かれそうになるのを、僕が阻止してやったというわけでござる」
事の次第を聞いて、銀時はヒヤリとしながらトッシーの機転に感謝する。
近藤に心配されて「ちゃんと寝てろ」と言われたら土方は逆らえない子なのだ。
ふぅと溜め息をつき、
「……じきに起きそうか?」
「うん、ずいぶん回復してきたでござる」
「……だったら、今はおめーで我慢してやるよ」
酒もケーキも土方の代わりに買ってきてくれたトッシーに、今は妥協するしかないと家に招き入れる。
後からついてきたトッシーだったが何故か浮かない顔をしていて、部屋には入らずモジモジと余計な心配をしているようで、
「……どうした?」
「坂田氏……歓迎してくれるのは嬉しいけど……え、エッチはことはできないでござるよ」
「誰がオメーにそんなことするかぁぁぁぁ!!! それに歓迎もしてねぇ!!! 土方が起きたらさっさと引っ込んでろ!!!」
やっぱり怒られてしまうトッシーだった。
おわり
久しぶりのトッシー。
誕生日なのに全然イチャイチャできてない銀土。
でも日付が変わる前に起きた土方と、ちゃんとイチャイチャしてます(笑)