原作設定(補完)

□その49
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いつも喧嘩ばかりしている銀時を後ろに従えて帰ってきたので、隊士たちに驚かれた。

「どうしたんですか!?」

と聞かれたものの、銀時はいつもどおり振舞える状態ではないので、適当に誤魔化して副長室へ直行。

副長が会議に遅刻するなんてもってのほか、なわけで、折り返し部屋を出ようとした土方は背後の気配に足を止める。

当然のことながら銀時が着いてこようとするが、さすがに会議に連れて行ったら説明しないわけにはいかない。

だが、他の隊士はともかく、沖田相手に適当に誤魔化せる気がしなかった。

なので"命令"するしかなくて、

「こ、ここで待ってろ」

「…………」

「すぐ……は無理だけど、戻ってくるから、ここで待っててくれ」

「……分かった」

反応がない銀時も、ちゃんと説得するように命令したら分かってくれたようだ。

それでも寂しそうな顔と姿に後ろ髪を引かれながら、土方は会議に向かった。

幸い銀時が屯所にいることはまだ広まっていないらしく、余計な追求を受けずに会議を終わらせることができた。

食事を運ぶわけにもいかないので、食堂に置いてある貰い物の菓子から大福を5個、書類で隠すように持って副長室に戻る。

すると銀時は「待ってろ」と言った状態のまま待っていて、土方は慌てて、

「わ、悪い。そこに、座れ」

ついつい謝りながら座布団に座るように命令した。

それから銀時の前を大福を並べてやって、用意はされているけれど自分ではあまりやらない茶を入れてやった。

「食え」

やっぱりじっとしている銀時にそう言ったら、心なしか嬉しそうな表情で大福を食べ始める。

今なら"犬の餌"と言われて嫌そうな顔をされているマヨネーズも黙って食べてくれそうだが、それは一応止めておいた。

銀時が大福を食べているのを見ながら、土方はだんだん物足りなさを感じ始める。

いつもいつもいつも喧嘩ばかりだった銀時が自分を好きだと知って、測らずとも両想いだったということになったけれど、"この銀時"は違う。

憎たらしいことも多いけれど、いつもの銀時だったから好きになったのだ。

「……どうしたら戻ってくれんるんだ、てめーは」

「?」

「……お、俺の気持ちはチャイナが言っただろうが……それだけじゃ無理なのか?」

そう言っても、銀時は大福を平らげてまた土方を見つめるだけ。
土方は"ちゃんと言う"決意を固めたものの、

「……よ、万事屋……お、俺は……俺も………………って、んなに見られてると言いづれぇな」

銀時がじぃぃっと見ているせいで言いにくくなってしまうが、良い方法をさきほど銀時が実行してくれていた。

土方は両手を伸ばして銀時を抱き締めた。

こうしていれば顔は見えないので、ようやく言える。

「お、俺も……てめーが好きだ……だからっ、とっとと戻って普通に付き合えコラァ」

「分かった」

土方の"命令"に同じ口調で答えた銀時だったので『やっぱりこのぐらいじゃ戻らねーか』と思ったが、少し経ったあと、両腕を掴まれて無理矢理身体を剥がされた。


つづく..
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