原作設定(補完)

□その49
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それからは真選組からの連絡待ちだった万事屋も行動することにした。

怪しげな計画を立てていたのが攘夷志士なら、同じ攘夷志士が何かしらの情報を得てるかもしれないと思って桂を探したのだが、

「どうでもいいときには姿を見せるくせに大事なときにはなんで居ねーんだぁぁぁ!!」

見つからなかった。

それから、天人製の薬品を使っているかもしれないと思って坂本を探したのだが、

「……あいつは、まあ……いつものことか……」

見つからなかった。

怪しげな物が集まるかぶき町や吉原でも、それらしい情報を得ることはできず、結局万事屋にできることは何もなくなってしまった。

家でじっと待ってるぐらいならいっそのこと真選組に乗り込んでやろうかとも考えたが、薬品の特定には協力できそうもないし、取調べ、おそらく拷問に近いことになっているんじゃないかと思うのだが、ソレに参加すると歯止めが利かなそうだし、新八たちには教育上よろしくない気がする。

なので、新八と神楽は2人でできそうな仕事の依頼に出かけた。

銀時を残していったのは、ちゅん四郎を一人にするのも心配だし、銀時もちゅん四郎が気になって仕事ができないかもしれない、と気を使ったからのようだ。

静かになった万事屋で、銀時は掌の上に乗っているちゅん四郎を見る。

今朝はまだマヨネーズを食べていない。

名前を呼んでも反応がなく、普通のただの鳥みたいだった。

だんだん"鳥"でいる時間が多くなっていて、もしかしたらこのまま土方ではなくなってしまうのかもしれない。

夢で見たように窓から外に飛んで行ってしまうのかも、と。

そっと優しく両手でちゅん四郎を包み込む。

「土方くん……どうやったら戻ってくれんの……お願いだから……教えてくんない?」

"らしくない"弱気な言葉が口から零れ落ちた。

「ちゅん」

さっきまでそっぽを向いていたはずのちゅん四郎が銀時を見上げ、それから掌にすりすりと擦り寄ってきた。

土方が慰めてくれている、のだと分かって銀時はふっと笑う。

「……ごめん……不安なのは土方くんのほうだよな……大丈夫、きっと戻れるから」

「……ちゅん……」

「ん? 戻れなくても逃がさねーよ。俺はしつこくて諦め悪いんだから、覚悟しとけコノヤロー」

そして、こんな時でも照れくさくて口にできない想いの代わりに、柔らかな羽根に唇を寄せた。

と、同時に万事屋の外にうるさい足音が響いてきて、乱暴に玄関が開き、

「旦那ぁぁぁぁ!! 元に戻る方法が分かりましたぁぁぁ!!」

そう叫んで山崎が中に入ってきた。

歩きながら、

「連中、ハタ皇子非公認の"ラブ&ピース江戸を救う党"だったらしく、動物に変わってしまった人間を元に戻すには、愛と……」

事情を説明しながら部屋に飛び込んできたのだが、銀時と"土方"を見て呆れた顔をする。

キス(のようなもの)をしたと同時に掌の中のちゅん四郎はばーんと土方に戻ってしまったため、ソファに座った銀時のひざの上にそのまま座る形になったわけで。

銀時の"愛"が土方を元に戻した、という状況と相まって、真っ赤っかになってしまう2人だった。



 おわり



強引! 相変わらずオチだけで終わり!
土方さん、「ちゅん」以外喋ってないんですけど!!(笑)
でもちゅんがたくさん書けて楽しかったです。

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