原作設定(補完)

□その49
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慌てて半分ほど引き出してペラペラとめくってみたが、まごうことなき一万円札がおそらく30枚ぐらい。

「な、なんですか、この金は。くれんの?」

「約束だからな」

「だから、なんの約束ですか」

「昔、"先に、好きなヤツと付き合えたほうに、30万払う"って約束しただろうが」

「……………な、なな、ななな、なにを……」

そんな約束をしたことなど銀時の記憶にはない。

が、金をくれる、と言うなら有り難くちょうだいしたいところなのだが、銀時は硬直したままダラダラと汗をかいている。

原因は、高杉が律儀で驚いているとか、賭けに負けたのに悔しそうじゃなくて不信だとかではなく、ここに新八がいることだった。

お茶を運んでくる途中で話を聞いてしまった新八は、駆け寄ってきてお茶をテーブルに置き、そのまま銀時に詰め寄る。

「銀さん!!!? 誰かと付き合ってるんですか!!?」

そう、ソレを隠していたのが高杉のせいでバレた。

「だから最近真面目に働いてたり、身なりを小奇麗にしてたり、遊びに行ったあとにお土産なんか買ってきてたんですね!!?」

「……そ、それは……」

「どんな人ですか!? っていうか、誰ですか!?」

新八のテンションはやたら高かったが、普段から銀時の口から出る女の名前と言えばお天気アナぐらいで、女性の影がまったくなかったからだ。

だから「嘘に決まってんだろ」と否定することもできた。

が、新八に詰め寄られている銀時の向かいで、高杉はちゃっかり出されたお茶を飲んでやがる。

ここで否定してもきっとコイツが余計な口を出してくるだろう。
だが答えないなら答えないで、

「銀さん!? 教えてくださいよ!」

「……だ、誰って……」

「僕の知ってる人ですか?」

「知ってるもなにも、しょっちゅう顔を合わせてんだろ」

「しょっちゅう!?」

「た、高杉ぃぃぃぃぃ!!」

ご親切にもヒントまで出されてしまう始末。

「えぇぇぇ……誰だろう……さっちゃんさん? 月詠さん?」

と新八がちょっと的外れなことで頭を悩ませている隙に、銀時は高杉を睨んで玄関を指差した。

「てめーはもう帰れぇぇぇぇ!!」

「はいはい」

高杉は憎たらしい薄ら笑みを浮かべ、素直に立ち上がると玄関へ向かう。

余計なことをしてくれて「こんな金いるか!」と叩き返したほうがカッコ良いのだろうが、余計なことをしてくれたからこそ迷惑料として受け取っていいかもしれない。

だが今度会ったときはボコボコにしてやろうと心に誓う銀時だった。





おまけ

万事屋、夜。

ピンポーン

「あ、土方さん、いらっしゃい!!」

「!!!?」

「トッシー、よく来たアル。遠慮せずあがれヨ」

「!!!?」

「……いらっしゃい」

「ど、どういうことだ!? なんでガキ共が……」(小声)

「……ごめん、ばれた……」

「ば、ばれ!? ……そ、それで、なんでアイツラあのテンションなんだ?」(小声)

「”いくら俺がいい加減な男だと知ってても、付き合ってるのが男、ましてや土方くんだなんて知ったらショックを受けるかもしれない”」(小声)

「てめーがそう言うから俺もコソコソしてたんだろうが」(小声)

「うん……でもアイツラ、そんなにデリケートじゃなかったみたいです」(小声)

「?」

「なにしてるアルか、さっさと来るネ! ご馳走が冷めるアル」

「お、おう」

テーブルの上に手料理(ちょっと贅沢気味なメニュー)がズラリ

「………なんの祝いだ?」

「銀さんと付き合ってるのが土方さんで良かった祝いです!」

「……よ、よかった?」

「はい! 相手が土方さんだから、銀さんがちょっと見栄張って仕事頑張ってくれてます!」

「ひ、土方君のおかげじゃないよ!? 銀さんだってやる時はや……」

「それにトッシーなら恋愛ボケして自堕落な日々に陥ることもないアル! 良い事だらけネ!」

「……そ、そうか……」

「てめーはどんだけガキ共に心配されてんだ」(小声)

「すみません」(小声)



 おわり



高杉を出すことだけが目的だったの。
だからおおむね満足です(笑)


土方が入るといつもの感じになるな。

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