原作設定(補完)

□その49
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なのでそっぽを向いて"拒絶"するしかなかったのだが、

「……てめーには関係ねー」

「その悩みを解決する代物があるんですがね」

「え」

そう言って携帯電話をチラつかせる沖田に、ついつい反応してしまった。

土方の悩みを解決するモノが、銀時の気持ちを確認できるモノが、携帯の中に入っている。

すごく、ものすごーーーーーく気になるが、沖田が土方のために無償で何かしてくれるはずもない。

「…………何が目的だ……」

「一番隊の厠掃除を一生免除してくだせぇ」

「あ?」

明日の会議で今週の掃除当番を割り振ることになっているが、厠を当番するのが嫌だ、と言っているようだ。

「い、一生なんて無理に決まってんだろ。そんなことしたら他の隊から文句が出る」

「それをなんとかしてくだせぇ、と言ってるんでさぁ」

土方が故意に一番隊を割り当てないのはすぐに気付かれるだろうし、責められたときに"事実を話さず"誤魔化せ、と。

土方は苦々しい表情で、

「……一生は無理だ……」

「じゃあ、一年」

「……は、半年ならなんとか……」

「一年。これ以上は譲れませんぜぃ」

最初に"一生"なんて言ったのも、"一年"を妥協させるためのハッタリだったろう。

が、土方はコレを飲むしかなかった。

「…………分かった。なんとかする……」

それを聞いた沖田は満足そうに携帯を開いてカチカチとしばらく操作した後、ぱたんと閉じた。

同時に土方の携帯がメール受信の着信音を鳴らしたので、

「じゃ、そういうことで」

そう言って軽い足取りで副長室を出て行った。

悔しげな顔でそれを見送ってから、土方は自分の携帯を見る。

"厠掃除免除"を実行したわけでもないのに"解決する代物"を渡したということは、ソレは本当に土方の悩みを解決するモノだろう。

ただ、それが土方の望むほうに解決してくれるとは限らない。

むしろ沖田から提示されたものだけに、望まないほうに、銀時が自分をちっとも好きじゃない、という証拠になっている可能性もある。

何度も何度も深呼吸を繰り返し、土方は受信したメールを開いた。

画面には添付された画像が映る。

明らかに隠し撮りされたその画像には、土方はそっぽを向いていたり背中を向けていたりまともに写っていなかったけれど、銀時はちゃんと写っていた。

土方に気付かれないようにニヤニヤ嬉しそう笑っていたり、気持ちがだだ漏れなぐらいだらしない顔をした銀時が。

「……っ……」

こんな顔をちょっとでも見せてくれていたら、余計なことを悩まずに済んだし、沖田に余計な借りを作ることもなかった。

「……あんの……バカ天パ……」

憎憎しげにそう呟いた土方の表情は、この上なく緩んでいた。




おまけ

「それじゃ、約束の"おやつひと月分"、よろしくお願いしまさぁ」

「本当だろうな! ここんとこあんまり楽しそうじゃなかった土方くんを、前みたいに戻してくれたんだろうな!」

「きっちり仕事はしやしたよ。次に会うときはだらしねー顔のあのヤロウが拝めさまぁ」

「そ、そうか」

自分の"だらしない顔"を売られたとは知らず、ほっとする銀時だった。



 おわり



ふぅ、やっぱり銀さんをめっさ好きな土方さんが好き。
銀さんもちゃんと土方さんを好きだとなお萌える。
同じような話を何度書いても楽しい!(笑)

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