原作設定(補完)

□その49
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#488

作成:2019/08/23




汗で湿った体を扇風機が冷やしてくれる……とはいえ冷房のない万事屋なので、ぎゅっとして寝るのは土方に拒否された。

ちぇっと拗ねながらも、それでもこうして万事屋に足を運んでくれてイチャイチャしてくれるのだから、不満を言うのは贅沢だ。

疲れ(仕事)に疲れ(事後)を重ねた土方の顔を見ながら目を閉じる。

せめて朝まで、目が覚めるまでそこに居て欲しいと願いながら。



人の動く気配がして銀時は起きたが、目は開けずに身動きしないでいた。

傍らで身動きをする人なんて、土方しかいない。

ので、気付かれないように小さくため息。

目を閉じているのではっきり分からないが、もう土方が帰る時間になってしまったのだろう。

いつも銀時が寝ている間にこっそりと帰ってしまう。

起さないように、という優しい気遣いのようにも思えるが、起したら起したで面倒くさいと思っているフシもあった。

だから今日もそうだろうと思っていたのに、上体を起した土方が立ち上がらずじっとしている、ような気がする。

何してんだ?、と考えていると、くしゃくしゃっと武骨な手で頭を撫でられ、「ふっ」と笑った。

『えぇぇぇぇぇ、何してんの!? 寝てる俺に何してくれちゃってんの!?』

思いがけないことをされた動揺も、気恥ずかしくなって赤くなるのもぐっと我慢した。

その後、土方が立ち上がって身支度を整えている音がする。

銀時が、傍らに土方が居ないのを寂しく思っていたように、土方も、傍らの銀時をおいて帰るのを寂しく思ってくれていたのだろうか。

そう思ったらたまらなくなってしまって、布団を離れて襖を開けた土方の背後からその背中を抱き締めていた。

寝ていると油断していたせいか驚いている土方に囁く。

「もう、帰んの?」

「……万事屋……起したか……」

「まだ全然暗いじゃん……もうちょっとだけ……」

"居て欲しい"という言葉を言えずにいる銀時に、土方は笑って銀時の手を解いた。

「まだ帰らねーよ。喉渇いただけだ」

そしてさっさと台所のほうへ歩いて行く。

よく見たら土方は着物を適当に羽織って帯を締めただけだったし、時計を見たら目を閉じてからさほど時間も経ってなかった。

いろいろ考えていたせいで一人で盛り上がってしまった気分になり、銀時は恥ずかしくなりながら布団に戻る。

そのままそっぽを向いて寝たフリをしてもいいのだが、今頃ニヤニヤしている土方に一言言ってやりたくなった。

なので、戻ってきた土方をチラリと見て、

「……自分だけ飲んできたんですか。フォロ方くんなのに気が効か……」

ツンを発揮して文句を言おうとした。

が、土方はズカズカと近づいてきて銀時の肩を掴んで仰向けにすると、覆いかぶさるようにして唇を重ねた。

驚く銀時の口内に、冷たい麦茶が流れ込んできて喉を潤す。

体を離した土方はにやりと笑って、してやったり顔。

「満足かよ」

「…………はい」

さすがに今度は赤面するのを我慢できず、銀時は情けない顔で頷いた。

それから土方は銀時にくっつくようにして寝直したので、悔しいような嬉しいような気持ちで抱き締める銀時だった。



おまけ

でもやっぱり「暑い。無理」と言って剥がされてしまいました。



 おわり



はい! 珍しくちゃんとイチャイチャしましたよ!
ベタだけどね! 「うふふ」って思いながら書きました!
書いてて気づいたんだけど……
土方さんが着物を“着た”ってことは、銀さん裸?
フルティンで抱き締めた?(笑)

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