原作設定(補完)
□その49
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#481
作成:2019/07/17
銀時はデスクの椅子に座り、チラリと時計を見る。
時刻は夜の10時を過ぎたところで、それからソファに座ってテレビを見ている新八と神楽に、咳払いをひとつついて言った。
「あー……もう10時だなぁ」
「そうですね」
「そうアルな」
「……もうすぐ子供だけで外を歩くには危ない時間になっちゃうんじゃないかなぁ」
「かぶき町は明るいから大丈夫ですよ」
「それに私がいるから平気アル」
「……でもぉ、お妙仕事休みなんだろ。お前らが来るの待ってるんじゃね?」
「あ、姉上はオープン時間に人手が足りないとかでちょっと手伝いに行ってるので大丈夫です」
「酔っ払ったら帰ってこないかもしれないアルな」
「じゃあ今日はうち来るの止める?」
「ちょっ、待っ、それは困るっ」
「え? 神楽ちゃんが居ると何か困ることがあるですか?」
「今日は出かけないって言ってたネ」
「い、いや……別に……何もないですけどぉ……」
ごにょごにょと言葉を濁して銀時はまた時計を見た。
10時10分。
土方が"来れる"と言っていた時間は過ぎていて、いつ来てもおかしくないのに新八たちがまだ家にいる。
付き合っていることを隠して2ヶ月。
人目を避けるために万事屋で会うことになり、そのたびに何かと理由をつけては神楽を新八のところに行かせていた。
最初は"お泊り"が珍しくて嬉々として出かけてくれた神楽だったが、2ヶ月もなると面倒くさがるようになった。
今日に至っては新八と2人でダラダラとテレビなんて見ている始末。
『土方くん、まだ来ないでぇぇぇぇ! キャンセルはやだけど、遅れて来てぇぇぇぇ!!』
と心の中で叫ぶ銀時だった。
そして、そんな銀時の"普通にしてるつもりの"挙動不審を視界の隅で見て、新八と神楽もソワソワしている。
最初は"お泊り"が珍しくて嬉々として出かけてくれた神楽だったが、2ヶ月もなるとさすがに怪しいと思うようになった。
銀時が真面目に働いて小銭を貯めていたり、風呂に毎日入って小奇麗を心がけるようになったり。
誰かと会っているのかもしれない、というのが新八と神楽の出した結論だった。
かといって、さすがに逢引の途中で乱入するのは気が引けるし、相手の人にも悪い。
ので、訪ねてきたときに"バッタリ"会ってしまったという体で相手を確認しようと思ったのだ。
銀時の様子からして今日会う約束をしているのは間違いない。
変更の連絡を取れないようにさりげなく邪魔もした。
あとは相手が来るのを待つばかり。
三人がそれぞれドキドキしている中、玄関の呼び鈴が鳴った。
弾かれるように三人は玄関のほうを見て、勢い良く立ち上がる。
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