原作設定(補完)

□その48
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銀時が土方に会ったのは二日後のことだった。

依頼結果を催促する電話でもかかってきたら伝えやすかったのだが土方からの連絡なく、かといってこっちから連絡もしにくい。

モヤモヤして一日引き篭もってみたが、このまま保留していても埒が明かないと出かけてみた。

割と遭遇することが多い団子屋へ向かい、離れたところから様子を伺う。

土方に会うために出てきたのに、沖田が一緒では本題に入れない。

が、あいにく2人ともおらず、銀時は小さく溜め息をついて団子屋の店先まで行き、団子1本とお茶を頼んだ。

不本意だが土方とは思考が似通っているので、ここで待っていれば土方が一人でやってくるんじゃないかと思う。

団子1本で土方が来るまで粘るのは気が引けるが、懐が寒いので仕方ない。

『ちぇっ……手付金でも貰っておけばよかった』

依頼が依頼だったので金の話をすっかりし忘れてしまったのだ。

そして一本の団子を大事に大事にゆっくりと食べ終わったころ、目当ての人物は姿を現した。

「よう」

「……どーも」

いつもは一触即発で喧嘩になるのだが、今日は素っ気無くそう挨拶を交わす。

そして私服の土方は銀時の近くに座って団子とお茶を頼んだが、その後、ずっと黙ったままなので銀時は拍子抜けしていた。

依頼を請けたときあんなにハイテンションだったのだから、もっと「どうだった!?」と食い気味に聞かれると思っていたのに。

銀時はお茶をすすりながらチラリと土方を見たら、土方も同じように銀時を見たところで、目が合って慌てて反らす。

『あー…………改まると言い難いけど、言わなきゃ余計な期待させちまうもんな……』

タイミングを計る銀時と同じく、土方もどう切り出したら良いか悩んでいた。

『……どうする……"相手が違ってました"なんて言い難い……しかも"本当はてめーでした"なんてもっと言い難い……チャイナにその気があるなんて言われたらどうしよう……だけど変な方向に話が進む前に本当のことを言うしか…………ん? まてよ……チャイナにその気がなかったら、"仕方ねーから、総悟に諦めるように言っとく"で済むか? …………ダメだ……万が一、総悟がこいつに告白なんかしたら、チャイナから心変わりしたのかと誤解される……』

そして決心して勢いをつけた2人は、

『『もう言うしかねー! よし!』』

同時に振り返って口を開く。

「「依頼の件だけど! え? あ、悪い!」」

見事にハモってしまい、ふぅと溜め息をついて落ち着いてから仕切りなおす。

「……神楽に確認したぞ……」

「そ、そうか…………な、なんだって?」

「そ、それが……」

2人ともガチガチに緊張していて様子がおかしかったが、ガチガチに緊張しているので相手のことは気付かなかった。

嘘をつくのが後ろめたくて目を反らした銀時が、明らかに挙動不審に言う。

「か、神楽のヤツ……じ、実は、俺のことが好きだったらしいんだよ……」

「……あ?」

「い、意外だろ!? 俺もびっくりしたんだけどさー、"銀ちゃんの嫁になるアル"とか言われちゃってさー」

「……チャイナも?」

「も?」

「い、いや……そう、か……」

もっと疑われるかと思ったのだが土方はあっさり信じたような難しい顔をしている。

これで話は終わるかとホッとして油断した銀時だったが、

「それで……てめーは、どうするんだ……」

「えええっ!?」

まさかそう聞き返されると思ってなかったので過剰に驚いてしまった。

"ん?"という顔をしている土方に、慌てて話を合わせる羽目になってしまう。

「そ、そうね……今すぐどうこうってのはもちろんねーけど? 将来的には分からない……こともないこともない……かもしれない……」

「……結婚するのか?」

「……けっ!?………………ま、まあ、そういうことになるようなことがあるかもしれない……というのはそのときになってみないと定かではないといわざるを得ない、かもしれない……」

内心で"有り得ねぇぇぇぇ"と叫んでいるせいもあり、銀時の言うことは支離滅裂だったが部分的には肯定しているようにも聞える。

ので土方も脳内で対応を必死に考えていた。


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