原作設定(補完)
□その48
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一方、その頃の真選組屯所。
昨夜は酔っ払った勢いで万事屋に依頼をしてしまったことに今更ながら後悔しつつ、本当に良い方向へ行ってくれるんじゃないかと期待をしてもいた。
いつ連絡をくれるだろうかと何度も携帯を気にしている土方のところに、近藤がコソコソと姿を見せる。
「トシ、ちょっといいか?」
「あ、ああ。どうした?」
「総悟のことなんだが……」
唐突にそう切り出され、近藤と沖田の会話を盗み聞きした挙句、勝手に銀時にそれを暴露してしまったことで土方はドキリとした。
「そ、総悟がどうした……」
「それがなぁ……昨日の飲み会で酔っ払って珍しく恋バナなんか始めてな……どうも、好きな人がいるらしいんだよ……」
どうやらそのことを相談しに来てくれたようなので、土方はチャンスだと思った。
知らないフリで全部聞いてから、さりげなく万事屋に依頼するように話をもっていけばつじつまが合う。
「……そ、そうなのか……アイツにねぇ……ど、どんなヤツなんだ?」
「うーん……どうも"大食らいで生意気で下品で口汚くて馬鹿力で態度が悪くて小憎たらしくて可愛くない、けど、可愛い"タイプらしいんだよ……」
「……随分細かいな……っていうか、それって……よ、万事屋んとこのチャイナじゃないのか?」
ズバリと言ってみたのだが、近藤のほうは浮かない顔をしている。
「俺も初めはそう思ったんだけどな」
「……え……ち、違うのか?」
「店を出て帰る途中でな……その人の体格の話になって……俺より二回りぐらい小さいぐらい……って言われたんだ」
「!!? あ、あんたより二回りって……相当デカイぞ?」
「だよなー。少なくともチャイナさんじゃないし……それに……大柄な女性だとしても俺と比べたりするか?」
驚いた土方だったが、頭の中では脳にインプットされた情報から"条件と一致する"人物を検索し、高確率で該当する人物が選出された。
"大食らいで生意気で下品で口汚くて馬鹿力で態度が悪くて小憎たらしくて可愛くない、けど、可愛い、近藤より二回り小さい"人物。
「…………よ、万事屋?」
「っていう気がするよな? 仕事サボって万事屋と買い食いしてるのを注意したとき"旦那が可愛い顔で甘い物食ってるのが面白いんでぃ"とか言ってたもんなぁ……どんな面白がり方だと思ったけど……そういう意味でだったのかなぁ」
土方も、その時はドS同士で仲良くなったもんだ、としか思っていなかったのだが、確かに神楽と比べたら格段に仲が良い。
それに真選組の中でも沖田にあれだけ懐かれている者は、近藤以外にいない。
それが全部特別な感情があるからだとしたら。
土方の方も、熟考の結果に焦っていた。
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