原作設定(補完)

□その48
30ページ/33ページ

#478

作成:2019/07/07




出勤してきた新八に起されて、頭ボサボサ寝惚け眼で起きてきた神楽だったが、

「あぁぁぁぁぁぁ!!!!」

突然そんな雄たけびを上げて窓にバーンと体当たり気味に貼り付いた。

ソファで再びウトウトしていた銀時も驚いて目を覚まし、新八が心配して声をかける。

「ど、どうしたの神楽ちゃん!」

「雨が降ってるアル!!!」

「雨? 降ってるとダメなの?」

「みんなと願い事書いて星を見る予定だったアル!!」

そう言われて銀時も新八も「ん?」と思ってカレンダーを見た。

「ああ、今日は七夕か」

「そうですね。でも今日は……」

ちょうどテレビから天気予報が流れてきて、

"今日の江戸は雨ときどき曇りの梅雨らしい天気でーす"

神楽はがっくりと肩を落とした。

「ざ、残念だね。あ! でもそのほうが良かったんじゃないかなぁ」

「……なんでアルか」

「ほら、みんながジロジロ見ないから、雲の上で彦星と織姫もゆっくりデートできるんじゃない?」

「……そうアルな……一年ぶりなんだから誰も見てないところでめくるめく官能の世界を楽しみたいアルな……」

「……"願い事書いて星を見る"っていう可愛いシチュエーションからエロに持っていくのやめてくれる」

2人の子供らしいんだか子供らしくないんだかの会話を聞きながら、銀時は「ふむ」となにか閃いたような顔をしていた。




夕飯の後、土方は再び自室に戻って書類整理に没頭する。

梅雨の雨続きで昼間に気晴らしで見回りに出ることもできず、さすがの土方もこんな生活にちょっと飽きてきていた。

手を休めると『ずっと顔も見てねーな』と銀時のことを思い出す。

土方の仕事が忙しいせいもあるが、銀時も天パーにありがちの悩みで外に出たがらないのだ。

『もう一年も会ってねー気がするな』

寂しさのあまりそんな大げさなことを考えていると、庭側の障子が静かに開いて、

「うわっ、煙たっ!」

"用もないのに電話なんかできるか"と言ってしまったために、電話もできず聞けなかった声が聞えてきた。

振り返ると銀時が障子を全開にして部屋に充満した煙草の煙を払い出している。

「ったく、たまには換気ぐらいしなさいコノヤロー」

「……何、してんだ」

「……空気の入れ替え?」

「じゃなくて……何しに来た」

銀時がふらっと屯所に来たことはなく、ましてや隊士からの連絡がないということは門を通らずこっそり侵入してきたことになる。

いぶかしむ土方に、銀時は障子をそっと閉めて土方のそばに来てしゃがみ、

「今日、七夕だったじゃん?」

唐突にそんなことを言い出した。

「……ああ……だから?」

「だからぁ、彦星は、全然会えないし電話もしてくれないツレナイ織姫に会いに来ても良い日なんじゃねーかと思ってぇ」

嬉しそうに拗ねる銀時に、それは七夕の話ではなく自分たちのことなのだと察する。

「……誰が織姫だ。会えないのはてめーが外出したがらねーせいでもあるだろーが。いいのか、もふもふ増量してるぞ」

「まじでか! 頑張ってセットしてきたのに! ……っていうか、誰も見てねーから、いいの!」

「?」

「今日は雲に覆われてて2人の邪魔をする見物人はいねーから、イチャイチャしていいんだってよ?」

そんなことを言うために外出したくないのにわざわざ雨の日に出てきてくれたのかと思うと、会えないのが寂しいと思っていたせいもあって嬉しくなった。

土方がそんなことを考えているとは露知らず、怒って追い出されるかなぁと内心ドキドキしている銀時に手を伸ばして抱き締める。

「……一年に一度だしな……しかたねーからイ……イチャ…イチャしてやらあ……」

『マジデカァァァァ!!』

期待以上にその気になってくれた土方に、"七夕バンザイ"と叫びたくなる銀時だった。



 おわり



が、屯所なのでイチャイチャにも限界があります。
うちの土方さんは屯所では絶対ヤラナイ派なので。
……屯所じゃなくてもあんまヤッてないだろ?
書いてないだけでそれなりにヤッてる……はず(笑)

次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ