原作設定(補完)

□その47
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やれやれと溜め息をついて医療室に入ると、

「お? おはえり、ひひかかくん」

口いっぱいに饅頭を頬張った銀時が出迎えてくれた。

この顔のどこが可愛いんだと思う土方だったのだが、お茶で饅頭を胃に流し込んだ銀時がてとてとと近づいてくる。

そして、

「……いろいろ心配と迷惑かけて……悪かったな。薬飲んだらすぐ戻れるって……助かった……」

気恥ずかしそうにもじもじとそう言われたとき、胸がきゅんとときめいて、気付いた。

今日の銀時は、以前女になったときの袖のない露出の高い服を着ていて、体も小さく、土方の前でモジモジされると、

『……可愛いと……言えなくも……ないような……気はする…………ハッ!!』

そう思ったら、"この場所"が危険だと分かった。

何しろここは女に飢えた男のたまり場であり、自分はこれから近藤と一緒に外出しなければならないのだ。

「よ、万事屋っ!! 薬が出来たら届けるから、てめーは一旦家に帰れ!!」

「あ? なんで? ここで待ってたほうが早ぇだろうが」

「俺は近藤さんとちょっとお偉いさんとこに顔出しに行かなきゃらなねーんだよ!」

「?? 行ってらっしゃい?」

「じゃなくて! こ、ここは危ねーんだ!!」

首を傾げる銀時にさきほどの話を説明したら、「へえ」という顔をしたあとににやりと笑われた。

「ほらな、やっぱり銀子のほうがモテるんだって」

あの時どっちがモテるで勝負したことを思い出したようで、腰に両手を当てて"えっへん"というポーズを取る。

『!! そういうのは可愛いから止めろぉぉぉ!!』

とは口に出さず、銀時……いや、銀子の身を按じたのだが、

「だから、屯所にいるとヤバイ……」

「大丈夫アル。私たちがついてるネ」

「正直、銀さんには一秒でも早く元に戻ってもらいたいんで、ここで待たせて欲しいです」

子供たちにそう言われ、神楽がいれば確かに真選組の隊士ぐらいなら蹴散らせるし、新八の言うことも最もだと納得する。

「……じゃあ、副長室に居ろ。そっから出るなよ。隊士たちには部屋に入ったら切腹だと言いつけておくから」

「「「はーい」」」

またしても良い返事をする万事屋たちに土方は心配気に出かけて行ったが、3人は顔を見合わせてにやっと笑うのだった。




2時間後、パトカーをサイレン鳴らしてぶっ飛ばして帰ってきた土方は、廊下を走って副長室に戻ってくる。

が、そこに万事屋たちの姿は無かった。

どこに行った?、と思っていると庭が騒がしいことに気付いて、部屋を横断して障子を開ける。

そこには隊士たちが大勢ずらーーーっと列をなしてして、そのさきには、

『銀子 有料握手会 握手1000円 写真500円 ツーショット写真3000円 ハグ30000円』

と書かれた看板の前で、

「ありがとうぉ、これからも応援してねぇ」

「列を乱さないでくださーい。順番にお願いしまーす」

「そこ! 隠し撮りはダメアル! ファンならちゃんと金を払って応援するヨロシ!」

だらしない顔をした隊士相手に良い笑顔を向ける銀時と、現場を整理するガキ共がいた。

"モテる"を逆手に取った見事なビジネスだとも言える。

が、土方の心配はガン無視にされた。

「商売するんじゃねぇぇぇぇ!!!!」

怒鳴りながら、やっぱり万事屋はいつもの万事屋がいい、と思う土方だった。



 おわり



銀子ファンクラブ(in真選組)。
なんてことに密かになってるんじゃないかなぁ、と思った話。
真選組の面々と比べて、やっぱり銀子がピカイチで可愛いと思うのです。
天パーがちょっと緩いのがポイントでしたね。
あのアレンジ着物もエロくて可愛かったし、ホント、銀子いいな。
土銀の土方さんだと逆に危険なことになりそうなので、
銀土のほうが萌える。

最後にちょっとだけ土方さんにノロケていただきました。

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