原作設定(補完)

□その47
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「……旦那……土方さんと付き合ってたんですよね?」

ズバリと聞かれて銀時はちょっと困惑したが、"付き合ってる"は誤解にしても"何があった"のかは知ってるようなので正直に話してみることにした。

「……付き合っては……いない、かなぁ……」

「だけど土方さんが夜に出かけてたのは"そういう"ことだったんじゃねーんですかぃ」

「そういうこと……は、そういうこと、だったけど……」

「どういうことですかぃ」

「……土方くんに頼まれたんだって。"好きなヤツが男だから、告る前に男がイケルか試したい"的な?」

「……それ、信じたんで?」

「まあ……真剣っぽかったし……信じるじゃん、まあ……」

銀時は全部まるっと正直に話したのに、沖田にはものすごく呆れた顔をされた。

というか、ほんのちょっぴりだけど怒っている気もする。

「旦那は土方さんが、好きなヤツがいるのに試しで好きでもないヤツと寝るようなビッチだと思ってたんですかぃ」

普段から土方をバカにしたり蔑んだり舐めきったりしている沖田でも、他人からそう扱われるのは嫌なようだ。

『案外可愛いとこあるんだね、沖田くん』と思いながら、銀時は小さく溜め息をつく。

「思ってませんんん」

「じゃあ、なんで……」

「……"そういうもんか"と思ったんだよ」

「…………そういう?」

「好きなヤツとかできると、みんなそういうの? 試したくなるんじゃないの?」

「んなわけねーでしょう。旦那だってそれなりの経験してりゃ、そのぐらい…………って、旦那……お付き合いの経験は……」

「ないよ。必要ねーし」

あっさりと答えた銀時に、『まあそれも旦那らしい』と思えなくもない沖田だったが、となると、

「……好きな人とかはいねーんで?」

「好きな人?」

「付き合うまではいかなくても、ドキドキするとかムラムラするとかいう相手ぐらいはいるんじゃねーんですかぃ」

「うーん……ドキドキ……ムラムラ…………………あ! 結野アナ!」

散々悩んだ挙句に出てきたのがテレビの向こうの女だったことで、沖田に"いかりや長介"が乗り移った。

『だめだこりゃ』

好きな相手に告白することもできずに"依頼"と称してせめてもの繋がりを持とうとする土方と、恋愛事に疎くて土方の気持ちにちっとも気付いていなかった銀時。

銀時をからかうことで、それを知った土方まで辱めてやろうと思った沖田の企みは失敗した。

沖田の吐いた深〜〜〜いため息は"心底呆れた"気持ちを表現していて、さすがに銀時にも突き刺さる。

だが、バツが悪そうな顔をしている銀時に、沖田は気付いた。

本当のことを聞いても銀時が満更でもなさそうな様子なことに。

顔を合わせれば喧嘩ばかりしていたころなら、ヤルことヤッてるので気持ち悪いとは思わないにしろ、親身になってヤッてやったのにと腹を立てても良さそうなもの。

表情に出さないようにはしているが、満更でもないどころか……。

「……嬉しいんですかぃ?」

「……な、なにが?」

「土方さんが旦那を好きだって知って嬉しそうだなぁ、と」

「う、嬉しくなんかありませんんん。何言ってんの沖田くん、そんなことあるわけないじゃん」

銀時はそう言ってそっぽを向いてしまったけれど図星なのは明らかだった。

"ああ、三十路前の中年男は素直じゃなかったんだ"、と失礼なことを考えながら、沖田は教えてやる。

「今日、土方さんは晩飯食いに外出しやすぜ」

「…………なんで分かんの」

「今から俺が土方さんを追い掛け回して旦那のことをチクチク聞きまくるんで、面倒になって逃げ出すからです」

土方の行動パターンを分かりつくしている沖田だからできる嫌がらせだ。

その様子が目に浮かぶようで、

「……お手柔らかにね」

ついついそう言ってしまう銀時だった。



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