原作設定(補完)

□その47
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逆に"なんでも屋"の銀時はそういう簡単なことが得意なので、コードを接続してぱぱっと直してしまった。

"そんなことも知らない"のを気恥ずかしそうにしている土方に気付かず、銀時はテレビのチャンネルを変えていくとお目当ての番組を見つけた。

「5月9日、午後のお天気をお知らせします。江戸は午後から……」

テレビ画面に映った日付と、お天気お姉さんが口にした日付を確認して、土方は驚きとショックを受けた。

「な……なんで9日なんだ!!」

「なんでって、9日になったから……9日なんじゃね?」

「だからなんで9日になったんだ! 俺はずっと5日のために根をつめて仕事してたんだぞ!」

確認はしたけど信じられないと動揺する土方は、どうやら本当に本気で今日が3日だと信じているようだった。

「仕事中も他の連中と会ってたんだろ? 日付の話とかしてねーの?」

「わざわざしねーだろ。昼も夜もわりとみっちりと仕事して、"あれ? 今日何曜日だった?"と思ったことはあったけど、携帯の待ち受けで確認して"まだ一日経ってねーのか"なんて…………あ?」

どうやらソレが原因だと気付いた土方の顔がさーっと青ざめる。

部屋に篭もっていることが多く日付も時間も分からなくなりそうな土方にとって、携帯の待ち受けのカレンダーが頼りだった。

それを信じてしまうほど忙しかったとも言える。

「……そういうことしそうな"子"に心当たり……一人だけあるなぁ……」

苦笑いの銀時の言う"心当たり"は土方にもあって、本当ならすぐにでもとっ捕まえに行きたいところだ。

が、その前に土方にはやらなくてならないことがあった。

怒り出すかと思っていた土方が黙っているので、「??」と首を傾げる銀時に、

「…………俺は……てめーとの約束、すっぽかしちまったんだな……」

眉を八の字にした情けない顔で土方がそう呟くように言ってちらりと視線を向ける。

銀時がここ数日連絡を取ろうとしたのもソレが理由だったのに、素っ気無い、どころか怒って拒絶してしまった。

土方がそう思ってくれるなら、自分が寝過ごしてしまったこともうやむやにできる、と銀時はちょっぴり考えた。

だがしょんぼりと落ち込んでいる土方を見て、黙っていられるはずもない。

「あー、それな。悪い。俺も酔って寝過ごしちまってました」

「…………そんな嘘つく必要は……」

「マジ! だから謝ろうと思って電話したら土方くんめっさ怒ってるし、ほとぼりが冷めるまで待とうかと思ったんだけど、それじゃいかんと思って乗り込んできたの」

つじつまは合ってるし、銀時も情けない顔をしていて嘘を言ってるようには見えなかった。

「……本当にか?」

「本当。だからあいこにしよーや」

仲直りにはそれが一番手っ取り早い。

銀時が笑ってそう言ったのに、土方はまだ浮かない表情で言った。

「……全然、あいこじゃねーだろ……」

「ん? だって、どっちもすっぽかしたんだし……」

「俺は約束のために頑張ってただけだけど、てめーは……すっぽかしたことと俺が怒ってると思ってたことで気を揉ませちまっただろうが……」

この四日間、銀時がどんな気持ちでいたのかを想像してしまったらしく、土方は罪悪感で落ち込んでいるようだ。

しかし当の銀時は、誤解も解け、謝罪もでき、目の前に"怒ってない"土方が居るのだから、この四日間なんてすでに無かったことになっていた。

「いいよ、そんなん」

「……だけど……」

「5日に俺と会ってくれるために土方くんがそぉぉぉぉぉぉぉんなに頑張ってくれてたのが分かったから、それでいいよ」

銀時ににいっと嬉しそうに笑われて、土方はハッと気付く。

普段から銀時の前で素直になれない土方は、5日の約束のときも「非番が取れたらな」と素っ気無く言ったし、当日も「非番が取れたから来てやった」と仕方なさそうに言うつもりだった。

だが実際は、非番を取るために日付も分からなくなるぐらい必死に働いてしまった、ことを暴露してしまったわけで。

赤い顔を悔しそうに歪ませる土方に、

「誕生日おめでとう、土方くん」

遅ればせながらそう言ってやる銀時だった。



 おわり



"誕生日を過ぎていたことに気付かなかった"の土方Verでした。
どちらも沖田が原因ですが、その後を書かないでしまったなぁ。
まあ、どっちも嫌がらせでしかないんですが(笑)
土誕も4年目となると、こんな話になっちゃうよ。
もっとべたーーっと甘い話も書いてやれよ、私!(笑)
ともあれ……はぴば、土方くん!!

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