原作設定(補完)
□その47
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#469
作成:2019/05/18
「おはようございまーす」
そう言いながら新八は万事屋の玄関をくぐる。
もう"おはよう"という時間ではないのだが、銀時から昨日「明日の出勤は昼からで良い」と言われていたので、いつもより少し遅めの10時になった。
言われた昼より早く来たのは、近くのスーパーで特売があり、ついでに万事屋で必要なものを購入してそのまま来たからだ。
神楽はそよ姫のところにお泊りで、銀時は飲みに行くと言っていたので誰も居ないだろうと思ったのだが、奥の部屋から神楽がひょこっと顔を出し、
「しーーっ」
人差し指を口元に当てて"静かに"というジェスチャーで出迎えられる。
そしてすぐ引っ込んでしまったので、
「どうしたの? 帰ってくるの早かったんだね」
と小声で言いながら中にあがると、神楽の視線の先を見て思考が一瞬止まった。
奥のソファに、私服の土方が横たわってすやすやと眠っている。
すぐに我に返り、動揺しながらもちゃんと小声のまま神楽に訊ねた。
「えええぇぇぇぇ!? な、なんで土方さんがいるの!?」
「知らないアル。私が帰ってきたときはもう寝てたネ」
"静かに"と指示されたので何か知っているのかと思ったが、どうやらそうではないらしい。
なんだか近寄りがたいような気がして、向かいのソファの背後から土方を見つめながら推測する。
「もしかして"むゆうびょう"とかいうヤツじゃないアルか?」
「屯所から? ちょっと遠すぎるんじゃないかな。それにソファでちゃんと寝てるって無理があるよ」
「じゃあ、他になにがあるネ」
「んー……あ! 銀さん、昨晩は飲みに行ったよね。その時に、酔って寝込んでいる土方さんを見つけてうちに連れてきたんじゃないかな」
「ジミーに電話したほうが早いアル」
「……そうだね……あ、ていうか、銀さんは?」
「居なかったヨ」
「まだ帰ってないのかな? となると、やっぱり土方さんが一人で来たことに……」
答えがそれ以上出ないまま、二人の会話は止まる。
土方をじーっと見つめていると、別なことが気になってきてしまったからだ。
神楽が呟くように言った。
「……イケメンは寝ててもイケメンアル」
普段会う、嫌そうに眉間にシワを寄せた顔とは違って、だらしない顔で気持ち良さそうに眠っている。
それでも"イケメンだなぁ"と見つめていたいような顔なのだ。
「……銀ちゃんが、ものごっさブサイクな顔で寝てたからそう言ってやったら、寝てるときは誰でもブサイクだって、って言ってたアル」
「……ダメだよ、神楽ちゃん。銀さんの根拠のない話を信じちゃ」
「銀ちゃんにも見せて思い知らせてやりたいアル」
「素直に認めないだろうけどね……というか、銀さん、いつ帰ってくるんだろう」
「トッシーがいるの見たらびっくりするネ」
「あ、でも、まだ土方さんがどうしてここに居るのか分からないし、もしかしたら銀さんが連れて来たのかも……」
寝てても全然ブサイクにならない土方の顔を見ながらそんなことを言っていたら、軽い足取りで外の階段を登ってくる気配がした。
鼻歌なんぞを口ずさみながら玄関を開け、一瞬動きが止まったあと、ドタドタと廊下を走ってくる。
そして部屋に飛び込んできた銀時は、新八と神楽、そしてソファで寝てる土方を視界に入れてから、
「お、おま!!! ……そ、その!!! ……こ、これ!!!」
美味く言葉にできないほど動揺しまくり、顔を真っ赤にしていろんな意味の汗をかいていた。
子供たちは察する。
土方が勝手に上がりこんで寝ているわけではないことも、喧嘩ばかりしていた二人が"喧嘩するほど仲が良い"以上に仲良くなっていることを。
もちろん驚いているし、何がどうしてそうなったとか聞きたいこともある。
が、2人は人差し指を口元に当て、
「「しーっ」」
と静かにするように促した。
土方がまだすやすやと眠っていることに気を使ってくれたようで、銀時もぴたりと口を閉ざす。
そして2人の間に立って、並んで土方を見た。
こんなにバタバタしているのに目を覚まさないなんて、よっぽど疲れているのもあるだろうが、熟睡できるほどここが"安全"だと思ってくれているということ。
新八と神楽は、2人の間で土方をだらしない顔でみつめながら『可愛いなぁ』なんて思ってそうな銀時をチラリと見る。
寝顔もイケメンで仕事もバリバリこなし高給取りの土方だけれど、欠点はあるものだ。
2人がつぶやくように、
「マヨラー……ニコ中……銀ちゃん……」
「……土方さん……見た目に合わないモノが好きだよね……」
「!!!?」
土方がここにいることを何も問われなかったので誤魔化せたのかと安堵していた銀時が、『あわわわわわっ』とあせっているのが分かる。
このまま見ていたら、いずれ目を覚ます土方もきっと同じように慌てるだろう。
それから、2人の居た堪れなさそうな顔を見ながらいろいろ聞いてやろうと思う新八と神楽だった。
おわり
…………オチを忘れました…………
なんかもっと違うセリフがあったような気がするのに……
思い出せないので…もういいや…どうせ同じような展開だったから……