原作設定(補完)

□その46
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#458

作成:2019/04/08




「別れたい」

非番の土方を、まあ時間通りには来ないだろうと思って気長に待っていた銀時は、呼び鈴が鳴っていそいそと玄関に出迎えた土方に唐突にそう言われた。

「ええぇぇっ、4周年座談会で"まだまだ頑張る"って言ったばかりなのに!?」

「何の話だ」

「……いえ、こっちの話ですぅ」

敷地の中に入ったものの、扉を閉めようともせず、上に上がろうともせず、無表情のままの土方。

ただ事じゃないな、とは分かっていたが、ふざけずにはいられない。

「……エイプリルフールはもう終わったけど?」

「嘘じゃねえ」

「飲み会の罰ゲーム?」

「飲んでねえ」

「じゃあ、俺を試してんの? 試さなくたって銀さんは多串くん激ラブ……」

「そういうんじゃねえ」

土方の答えは淡々としていて、ふざけていることに文句も言わない。

真剣なんだ、と確かめたからには、銀時もふざけている場合じゃなかった。

銀時側に問題があるなら、原因、は、まあいろいろある。

ありすぎるほどある。

ものごっっっっさある。

その全てを悔い改めれば、もしかしたら考え直してくれるかもしれない。

情けないが、「だから別れないで」、と懇願してすがって泣き落としてもいいぐらいには、別れたくなかった。

だがそれをする前に、確認しておきたいことがある。

答えによっては泣き落としが通用しないからだ。

土方をじっと見つめたまま、銀時は落ち着いた声で訊ねた。

「俺のこと嫌いになったの?」

きっぱりと即答するなら、何も言わず諦めることも考慮した。

だが、土方は口を結んだまま何も答えない。

それだけで銀時は、もちろん土方が自分を嫌いじゃないことも、別れ話の原因が自分じゃないことも察した。

何か、きっかけがあったんだと思う。

自分が自分でいるために、とか、自分が大事にしているもの守るために、とか。

そのために悩んだ挙句銀時を捨てるほうに選んだに違いない。

銀時としては怒っても良いと思うのだが、そういうところもひっくるめて土方が好きなので仕方なかった。

なので、銀時はわざとらしいぐらい大きい溜め息をついてから、土方がびしっと言ってやった。

「だったら別れません!!」

驚いた土方が何か反論する前に、さらに言う。

「俺と別れたかったら、俺の目を見て、はっきりきっぱり"てめーが嫌いだ。顔も見たくねー"って言うしかねーよ」

"やれるもんならな"という顔をしている銀時に、土方はムッとして一応挑戦はしてみる。

「……じょ、上等だ! てめーが……て、てめーが……きら……」

言いたくない。

言わずに誤魔化して別れるつもりだった。

そう思っているだろう土方に、銀時はようやくにいっと笑う。

「それを聞くまでは、何があろうと、どんなに放っておかれようと、多串くんが何を大事にしてようと、ぜぇぇぇぇぇったい別れてやりませよコノヤロー!!」

断言する銀時に、土方はどうして別れ話なんかしたのか、銀時にはバレバレなのだと知った。

それでも良い、と言ってくれてる。

だったら、もう少し銀時の言葉に甘えてやろう、甘えていいのだ、と。

「……上等だコラァ! いつかきっと言ってやるからな!」

今は言わないけど、と悔しそうな顔をする土方に、銀時は今日を仕切りなおすために嬉しそうに笑うのだった。



 おわり



……似たような話を書いてる気がする……
似てなくても、同じような展開はたくさん書いてる気がする……
でもこうして悶々とする土方さんが大好きな気がする……
というわけで、4年目も似たような話を書いて頑張ります!

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