原作設定(補完)
□その44
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というわけで、邪魔者が黙ったところでガチンコの口喧嘩が始まる。
「つーか、失礼じゃね? 俺がそんなことす……」
「思ってる」
「まだ全部言ってないんですけどっ!?」
「二人きりでいりゃあ手だの肩だの尻だの触ってくる。厠じゃナニの比べっこだとか抜かして覗き見てくる。そんなセクハラ変態野郎は卑劣な手を使ってもおかしくねえ」
「スキンシップですぅぅぅ、男の子同士の可愛いスキンシップですぅぅぅ!!」
「一人で風呂にいるときに偶然を装って入ってきたり、布団に忍び込んでくるのはスキンシップの範疇を超えてるだろーが」
「分かってんならちょっとはその気になれやぁぁぁ!!」
「断る。俺はてめーが嫌いだ」
「揺ぎ無い回答! でも俺は諦めませんんん!!」
「ほらな。だからあいつらの手を借りたんだろう」
「だから借りてねーっての!! こんなおめーを見世物にするようなマネするか、見くびんな」
「……坂田……」
「俺だったらおめーとの始めてはこんな薄汚い倉庫なんて嫌ですぅぅぅ! 海の見えるリゾートホテルか夜景のキレイな高級スイートルームでワインとバラの花束を用意するわぁぁぁ!!!」
「どんな乙女チックだ! 逆に気持ち悪ぃわ!!!」
「おめーが言ったんだろ! 屯所も嫌だ、ラブホも嫌だ、ジャ、そうするしかねーだろうが!!」
「嫌なのは場所じゃなくててめーだって言ってんだろ!!」
「へぇぇぇ、そのわりにはメシ食ってたら寄ってくるし、道場で鍛錬中には飛んできて相手しようとするじゃねーの。嫌いなら側に来ないでくださぁい」
「断る。俺はてめーの顔と強いところは好きなんだ」
「……え……そうなの? じゃあ何が嫌いなの」
「顔と強いところ以外だ」
「広いな! 広すぎて分かりずれーよ!」
「真面目にやりゃあいいんだよ! キリッとして目と眉の間を短くして、仕事は真剣にサボらずこなし、臭い足を洗って、マガジン読んで土方スペシャルを食い甘味を減らし、毎日ちゃんと臭い足を洗ってりゃ、てめーは良い男なんだよ!!」
「足洗えだけ念を押した!? そんだけ注文多けりゃやっぱり俺のことなんて好きじゃねーんだろ!」
「好きだって言ってんだろうが!!」
「だったら俺のダメなところも許せよ!」
「てめーこそ俺が好きならダメなところは直してみろよ!」
「俺のほうがおめーのことすげー好きなんだからおめーが譲れ!」
「俺のほうがもっとてめーのことすげー好きなんだからてめーが譲れ!」
「それよりももっと俺のほうがおめーのこと……」
お互いしか目に入らず言い合いしていた2人は、ガチャリという音が聞えてそちらに目を向ける。
開かないはずの扉が開いて、うんざりした顔の男たちが出て行こうとしているところだった。
「おい!?」
「……もういい……勝手に二人でちちくりあってろ……」
二人のノロケに中てられた男たちは、作戦も失敗してせめてもの捨て台詞を吐いて姿を消した。
静かな倉庫に二人だけ残されてしまうと次第に冷静になり、ものすごく恥ずかしいやりとりをしてしまったことに気付く。
銀時がこほんと咳払いをし、
「……ま、まあ、何事もなくて……よ、良かったな……」
「お、おう」
「こ、この鎖さえなんとかすりゃ、自力で帰れるしな」
「そ、そうだな」
「……さ、さっきのことは……組の奴らには内緒にしとこう……」
「わ、分かった」
「…………で、出来るだけ善処するんで、お、おめーもちっとは妥協してくれね?」
「ど、努力する」
お互い前向きに前進することを誓う二人だった。
一方、彼らの部下は思っていたよりもとても優秀で、二人が拉致られていそうな場所をすぐに突き止め救出に来ていて、倉庫から出てきた男たちはすぐに検挙された。
そして所持していたカメラの映像から二人の恥ずかしいやりとりはすぐにバレ、
「……ほらね、やっぱりちちくりあってたじゃねーですかぃ」
と沖田にドヤ顔をされたりするのであった。
おわり
……あれぇ……時間がかかってしまったせいで、
なんか思っていたのと違うカンジになってしまった気がする(笑)
仕事中に妄想してたり、寝る前に妄想してたりするときは、
もっと良い感じのセリフとか浮かぶのにな……
まあ、バカップルなのには違いないんですが。