原作設定(補完)

□その44
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「…な、なんで……嫌なんだよコラァ……」

怒鳴ろうと思っていた声はか細く、顔はくしゃりと歪み、そして両目にはぶわっと涙が浮かぶ。

酒がよけいな影響を及ぼして、気持ちとは裏腹に悲しみが前に、勢いよく出てしまったようだ。

だが銀時を動揺させるのには成功した。

「えええぇぇぇ、ちょっ、まっ、ええっ!? ひ、土方っ!?」

まさか泣き出すとは思いもしない銀時がうろたえるのを、内心ではほくそ笑んでいるのに感情操作がうまくいかない。

「な、なんで泣いてんのっ? よ、酔ってる?」

「よ、酔ってるに決まってんだろぉ」

酔っ払いは普通"酔ってない"と言うものだが、土方は自分の意思で自ら酔っ払ったのだ。

ぼたぼたと涙をこぼしながら、"ちゃんと"言いたいことを言ってやった。

「酔ってなきゃ……言えねーし……聞けねーだろ……」

「言う? って、何が聞きてーの」

「……なんで前からすんの嫌がるんだよ……俺のツラを見るのが嫌なのか……」

「そ、それは……」

「俺は……女の変わりに抱かれてやるなんてできねー……俺はちゃんとてめーと……」

そこまで言ってエグエグと泣き出して言葉にならなくなった土方を見ていたら、銀時はちょっと冷静になってきた。

どうやら言いたいことがあるのに素面では言えそうにないから、勢いづけのために酒をあんなに飲んでたらしい。

そしてその言いたいことが土方の勘違いであるだろうことも。

「……お前ね、バカですか」

「!! だ……だれがばからぁぁぁ!」

「てめーのゴツゴツした身体が女の代わりになるかよ」

「……も、モテないから仕方なく……」

「失礼なこと言うなぁぁぁ!! モテなくたってお店のおねーちゃんがいますぅぅ」

「……か、金がないから仕方なく……」

「それはホントのことだけどねぇぇぇ!! だけど俺は吉原の救世主だからね! 吉原でなら金がなくてもいいって言う女の一人や二人……」

男のプライドでちょっと自慢げに言ってやったのに、恋人相手に発揮するものではなかった。

土方はますます辛そうな顔でボロボロと泣き出す。

「!!! う、うっそーん!! 全部ウソですぅぅぅ、俺って全然モテないんだなぁ!! でも、土方を女の代わりになんてしてないから!!」

必死に言い訳する銀時に、土方は涙を止めて呟いた。

「……じゃあ、なんでだよ……」

全然諦めてないし、そんな可愛い顔で言われたらもう気持ちを抑えることができそうもない。

それでも暫く躊躇ったあと、銀時は苦虫を噛み潰したような顔を真っ赤にして言った。

「……ひ、土方のせいだから」

「あ? どこが俺のせい……」

「おめーの顔が可愛いんだよ! エロイんだよ! んな顔見てたらすぐにイッちゃうでしょうがぁぁぁ!!!」

力説しているが言ってることは情けないことこの上なくて、土方の酔いも醒めてしまう。

だが説得力はあった。

「……それだけか?」

「……それだけです」

「おれのせいにしてねーで、もっと持久力つけるとか、ち○こ鍛えるとか……」

「俺の持久力もち○こも普通ですぅぅぅ!!! おめーの顔がエロイからおめーのせ……」

男のプライド……はもう粉々だけれど、そこだけは守ってやろうと頑張る銀時の首に、土方の両腕が伸びて引き寄せられた。

「……これならエ、エロい顔が見えねーで済むだろうが……」

ぎゅっと抱き締められたので、顔は当然見えなくなった。

土方がそこまでしてくれたのなら仕方ない。

「そ、そうね。なんとかなる、かなぁ」

銀時は嬉しそうな顔をして抱き返してやった。



おまけ

「…………どういうことだ」

「ど、どうって……」

「顔を見えなくしてやったのに、すぐイッちまったじゃねーか」

「……ぐっ……」

「……てめー、実は早ろ……」

「違うわぁぁぁ!! 今まではちゃんと満足させてあげてたでしょぉぉぉ!!」

「じゃあなんだ」

「……ひ、土方のせいだから」

「あ? どこが俺のせい……」

「おめーの声が可愛いんだよ! エロイんだよ! んな声、耳元で聞いてたらすぐにイッちゃうでしょうがぁぁぁ!!!」

「どっちにしろダメなんじゃねーかぁぁぁ!!!」

「……持久力つけてち○こ鍛えます……」



 おわり



ミエミエのオチでしたね。
イチャイチャしてるところを書くつもりで考えたはずなんですが、
いつものとおりのヘタレた内容で終わりました。
あ、でも頑張って下ネタを盛り込んだよ!(笑)

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