原作設定(補完)

□その43
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#428

作成:2018/12/30




真選組食堂、昼食の時間、

「そういや、旦那に会いましたぜ」

いつもなら先に土方が座っていると嫌そうな顔をして近づいてこない沖田が、無表情で土方の向かいの席に座ってそう言った。

無表情だけれど心の中ではニヤニヤと笑っているのが、土方には分かる。

ので、土方も心の中で舌打ちしながら無表情で応えた。

「…………そうかよ」

「せっかく団子でも驕ってやろうかと思ったのに、珍しく忙しいってんでフラれちまいやした」

「…………そうかよ」

「さすがに年中暇な万事屋でも年末年始は忙しいものなんですねぇ」

「…………そうだな」

会話はそこで終わったので、食事を終えた土方はさっさと自室に戻った。

座布団の上にどかりと座り、煙草をふかしてから念のため心の中で叫ぶ。

『んなことわざわざ教えてくれなくたって分かってんだよ! ちょっとだけだけど時間が空くから電話してみたら"忙しくて無理"って言われたばっかなんだからよ!!』

土方が銀時と付き合っていることは、真選組内では内緒にしているからだ。

だけど沖田にはバレてるような気がする。

きっとバレている。

バレてるに違いない。

だからこそわざわざ土方にあんなこと言いに来たに決まっている。

まあ土方の付け入る隙をあら捜ししているような沖田なので、いつかはバレると覚悟はしていた。

なので今はそのことよりも、銀時に会えなかったことのほうがショックだった。

『……ずっと半休すらなかったから、なんとか大掃除の日に休みをねじ込んだってのに……うまくいかねーもんだな……』

本来なら万事屋が上手くいってるなら喜んでやるべきなのだが、溜め息のもれる土方だった。



そんなわけで、年末の大掃除の日、本来休みのはずの土方は副長室に引き篭もる羽目になった。

休みを撤回しようかと思ったら、

「口うるさい土方さんが休みで喜んでたのに水を差さねーでくだせぇ」

とか言われてしまったからだ。

しかも土方は休みのはずだったので、

「土方さんの部屋の掃除は代わりに別な者がやるんで、煙草臭いと迷惑だから禁煙でお願いしやす」

とか言われてしまい、煙草も吸えずにイライラ。

いっそのこと外出してしまおうかとも思ったが、プラプラしているところを銀時に見つかったら、

「いっつも電話もできねぇぐらい忙しいのに暇なんだ、へえ、そうなんだ」

とか嫌味ったらしく言われそうなので外出もできない。

仕方なく書類整理をしていると、声掛けもなく襖がばーんと開いた。

「失礼しまーす、掃除に来ましたぁ」

承知していたことだが、やる気のない聞き覚えのあるその声に、土方はぽかんと口を開けて振り返る。

作業着姿の銀時がお掃除グッズを持ってズカズカと中に入ってきた。

「……な、なにしてんだ、てめー……」

「何って、だから掃除しに来たって言ってんじゃん」

「だ、だから、なんで掃除なんか……」

「依頼されたに決まってんでしょ。頼まれたら何でもやる、それが万事屋さんのお仕事なんですぅ」

さかさかと掃除を始める銀時を見つめ、土方は察した。

土方が休みをねじ込んだために不足した人員を、万事屋に依頼することで補ったというわけだ。

つまり、土方が休みを取ったために銀時が仕事になり会えなくなってしまった、と。

"万事屋に依頼する"なんて普段ならしない手段を取ったのも、沖田の提案による土方への嫌がらせだ。

ガックリと項垂れる土方に、銀時が口を尖らせて振り返る。

「つーか、土方くん。居るなら掃除手伝いなさいよ」

「……てめーの仕事なんだろうが」

土方は不貞腐れたようにそう応えた。

真選組からの仕事の依頼のことを、銀時が教えてくれなかったのも土方を驚かすためなのだろう。

銀時はしてやったりという顔で笑った。

「二人でさっさと終わらせたら、ちょーっとぐらいイチャイチャする時間ができるんじゃねーかなー」

そんな淡い期待をする銀時だったが、土方は、それを狙って沖田が邪魔にしに来ることは想像がついた。

だけどそれまでは銀時と一緒にいられる。

ささやかな願いは達成できたので、まあいいか、と笑う土方だった。



 おわり



本当は"手抜き"にしようと思って書き始めたのですが、
ご覧のとおりセリフがほとんどありません。
じゃあ文章を入れてカサ増ししたんですが長くなっちゃった。
なにもかもグダグダ(笑)

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