原作設定(補完)
□その43
19ページ/19ページ
#430
作成:2019/01/01
腕の中の温もりが動いて銀時は目を覚ました。
眠っている土方が、無意識ながら暖を求めて銀時に擦り寄っている。
大晦日の夜遅く、仕事が早く片付いたからと万事屋にやってきて大人のイチャイチャをしたあと、
「ここは寒いから帰る」
と言い出したのを、
「俺が温めてやるから、ぎゅーってしててやるから、お願いだから帰らないでください」
と引き止めた。
土方は"仕方ねーな"という顔をして残ってくれた。
年越しをいっしょに過ごせたのだから、もうちょっと恋人らしい会話とかまどろみとか欲しかったのに、"銀時カイロ"に満足して土方はすぐ寝入ってしまう。
そんな素っ気無さにいろいろ言ってやりたいことはあった。
12月は忙しかったらしくてロクに顔も見せなかったのに連絡もなしに急に来たこと。
おそらく真選組の忘年会から抜けてきたようで酒の匂いをぷんぷんさせて上機嫌だったこと。
目のしたにくっきりはっきりクマを作って、本当はすぐにでも眠りたいのを堪えて来てくれたこと。
相変わらず面倒くさがって偏った食事をしているせいで、それじゃなくてもゴツゴツした身体がさらに抱き心地悪くなっていること。
帰るつもりなんかなかったくせに、銀時に引き止めて欲しくて文句を言ったこと。
全部飲み込んで抱き締める。
明日の朝は、新年しょっぱなから副長留守、なんて出来なくて早々に帰ってしまうだろう。
ろくな会話も、新年の挨拶もなく、
「じゃあまたな」
と背中を向けて帰って行くのだろう。
だけど土方はそれでいい。
忘年も新年も改まることなく、いつもどおり変わらずいてくれればいい。
仕事の合間に思い出し、たまの休みにぷらっと顔を出し、確かめるように甘えてくれる。
それだけで充分だった。
銀時は腕の中の愛しい存在に願いを込める。
『多串くん、今年もよろしくお願いしてやってくださいコノヤロー』
おわり
どうしても土方寄りの話が多いので、
新年一本目は頑張って銀さん寄りの話にしてみました。
……が、いつもどおりのポエム的な話になったな(笑)
うちの銀さんは相変わらずヘタレなので、
土方が好きで好きで好きで好きで……
今年もそうやってヘタレてもらおうと思います。
原作が終わるかもしれない恐怖に耐えながら、
今年もなんとか頑張っていこうと思いますので、
よろしくお願いします。