原作設定(補完)
□その42
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近藤や銀時が何か言い出す前に、酔っ払った土方がおねだりする。
「よろじゅや、お客様をいつまでここに立たせておく気れすか……それともここでヤ……」
くすくすと笑いながらやらしいことを言おうとする土方を、銀時が慌てて遮った。
「そ、そうだね!! 中で休もうか!!」
土方を抱えて引っ張っていくように奥へ向かう銀時だったが、チラリと近藤を振り返り、
「……あんたも入る?」
と一応お伺いをたててきた。
「ああ、お邪魔する」
しかし近藤がそう答えると、がっかりしたような顔で奥に入って行く。
近藤は2人の後ろから着いて行ったが、土方は銀時に抱えられたままずっと楽しそうに笑っていた。
土方はいつも近藤の前ではしゃんとしていようとするから、こんな風に酔ってはしゃぐ姿なんて初めて見る。
さらに、銀時が奥の部屋に入って土方をソファに座らせようとしたら、先に銀時の体を押して座らせるとその膝の上に頭を乗せてソファに寝転んだ。
思いがけない行動に銀時は動けず、自分たちを見ている近藤と目が合ってしまう。
「……トシ、いつもこうか?」
「えっ!? い、いい、いつもってわけでは、な、ないですよ」
銀時としては2人の関係を説明すべきか言い訳すべきか迷っていたようだが、それは別の口が証言してくれた。
というか、してしまった。
「いつもこうアル」
近藤の後ろからひょっこりと顔を出した神楽が眠そうな顔でそう言う。
「か、かかか、神楽っ! おまっ、寝たはずじゃ……」
「うるさくて目が覚めたアル…………なんだ、トッシー酔ってるネ……」
最後にボソッと小声で「土産はないアルか」と呟いたところをみると、土産が目当てで起きてきたらしい。
それから改めて珍しい訪問者を見上げた。
「どうしたゴリ、トッシーを心配してカレシんちに家庭訪問アルか」
「か、カレシ?」
「ちょっ、まっ、神楽ちゃん!」
銀時は神楽を止めようとしているようだったが、この手の話は子供でも女に聞いたほうが早いというのを、キャバクラ通いで散財している近藤は知っていた。
「トシと万事屋は……つまり、そのぅ……つ、付き合ってんのか」
「そうアル。ラブラブで鬱陶しいぐらいネ」
「……そうか……知らなかったな」
「2人ともシャイネ。恥ずかしいから内緒にしてって言われてたアル。だからトッシーが隠してたからって気にするなヨ」
「だけど目立つ二人が付き合ってれば噂ぐらい聞きそうなもんだけどなぁ」
「いつもここで会ってたから誰にも見られてないアル」
まるっと全部話してしまった神楽に、ソファの銀時はあーあという顔で項垂れている。
そもそもの原因は酔っ払った土方のせいとはいえ、土方に「ぐれぐれも近藤さんにバレないように」と言われていたのに。
神楽に説明されてもやっぱり隠されていたことが近藤はちょっぴり寂しいようだった。
「……内緒だったのに酔っ払ってここに来たがるほど会いたかったのか……」
「仕方ないネ。トッシーずっと忙しくてひと月ぐらい来てなかったアル」
「……そう、だよな……」
「おまけにここ二週間ぐらいは電話もなくて、銀ちゃんずーっとへこんでたネ。だからきっと銀ちゃんのために酔ってても会いに来たアル」
土方にとっては真選組が一番。
ソレに変わりがないから、内緒事があっても近藤には分からなかった。
神楽の話でそのことに近藤は気付けたし、ずっと頑張って我慢してくれた戦友にしてやれることは1つなのだと判断する。
「じゃあトシは置いていくからヨロシクな、万事屋。ああ、それと、明日は休みで良いって言っといてくれ」
「え? ああ、わ、分かった」
あっさりと認めてくれた近藤に、銀時は驚きながらとりあえず返事をする。
そして銀時に張り付いたままうとうとしている土方を見て小さく笑い、近藤はそのまま万事屋を出た。
今日は珍しいものばかり見れたし、土方が自分の隣に居ないと冬の夜の寒さが身に染みるけれど、心が暖かいので良い気分の近藤だった。
おまけ
「……近藤さんにバレた……」(がっくり)
「し、仕方ねーよ、お前珍しくベロベロに酔ってたし」
「酔っ払うつもりなんて無かったのに……なんで飲んじまったんだ……」
「それはですね、副長のコップの酒が減るたびに、沖田隊長がこっそり継ぎ足してたからだと思います」
「総悟ぉぉぉぉぉ……う……」(二日酔い)
おわり
見た目的には土方さんずっと銀さんの膝枕でゴロゴロしてました。
ので、一応イチャイチャしてたってことで。
公認ラブラブの2人も好きだけど、内緒ラブラブの2人も好き。