原作設定(補完)
□その42
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「じゃあ、逆に旦那が抱くほうだったら良いんですか?」
「あ? ……まあ……そうなる、か?」
「分かりました。副長に聞いてみます」
そう言って山崎が携帯を取り出しつつ部屋の外に出て行くのを見送って、銀時は腕組みをしてうーんと頭をひねる。
『抱かれるのは嫌だ、絶対無理。俺が副長さんに……なんて想像もできない、ぜぇぇぇったい無理!』
(※当サイトの銀時の主張です。他意はありません:笑)
『力も俺のほうが強いし、身長は同じぐらいっぽいけど、体重も俺のほうが重い……っていうか、副長さん細いじゃん。顔だってキレイ系だし、あんあん言うなら絶対副長さんのほうが合うよ、うん』
自分を納得させるように悶々と考えていたら、15分ほどして山崎が戻ってきた。
「お待たせしました。副長は、”57142858歩譲って抱かれるほうでも良い”そうです」
「すげー譲ったな!」
「地球一周できます」
「そんなに!?」
「じゃあこれで問題なく副長とお付き合いしてもらえますね。よろしくお願いします」
「お、おう」
用件が済んでさっさと山崎が帰って行くと、銀時はほっと息をついた。
「いろんな意味でどうなることかと思った。よかった、副長さんが譲ってくれて」
安心して読みかけのジャンプを手に取り、ソファに座ってからふと考える。
「………あれ? 何か大事なことが間違っているような気がする……」
それが何か気づけない銀時だった。
「ほら、上手くいったでしょう。旦那みたいなタイプには、最初から本当のことを言うよりも、論点をズラして押し付けたらなんとなくその気になってくれるんですよ」
屯所に戻った山崎はさっそく事の次第を土方に報告する。
上手くいったことは嬉しいのだが、土方は不安そうに眉を寄せる。
「……気付かれねーか?」
「いつかは気付くかもしれませんが、その前にのっぴきならない関係になってればいいんですよ。副長ならできますよね」
にやりと笑った山崎に、土方は小さく肩を竦める。
「ああ、なんとか頑張るよ。すまなかったな、面倒なことを頼んで。ありがとう」
土方からの最大の称賛を受け取って、山崎は土方が本当に本気で真剣で銀時のことが好きなのだと気付いた。
伊達や酔狂でこんなことをするとは思ってなかったが、喧嘩ばかりしていた銀時に告白してまで前進したいと願っていたとは。
「あのう、副長。自分で言ったほうが良かったんじゃないですか? 俺にできたんだから旦那を言いくるめるなんてお手のものでしょ」
確かにいつもの土方なら、そうできたと思う。
「……無理だ……アイツの俺に会ったときの嫌そうな顔を見るとムカついて噛みついちまう」
「……そんなに旦那のことが好きなんですねぇ」
山崎としては思ったことを無意識に口に出しただけだったのだが、土方は露骨に反応した。
顔を真っ赤にして口ごもる土方に、山崎はもう一言言ってやろうとしたのに、
「も、もも、もういいだろっ! 仕事に戻れ!」
そう言って追い出されてしまった。
やれやれと山崎はため息をついて、土方の恋路が上手くいくことを願うのだった。
おわり
……あれぇ? オチが違うような気がする。
思い出したら続きに書こう。
銀さんがマヌケなままになっちゃったな。