原作設定(補完)

□その42
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#417

作成:2018/11/19




「万事屋……もう我慢できない……頼む、から……」

小刻みに震える体を自分で必死に抑え、高揚して赤く染まった顔と潤んだ瞳で土方はそう言った。

何を欲しているのか、一目で分かった銀時は土方に手を伸ばす。

「トイレ我慢してるの?」とか「沖田くんに何か飲まされちゃったの?」なんてヤボなことは言わない。

熱い頬をそっと撫でる銀時の掌に、答えるように土方が擦り寄った。

どちらかともなく唇を重ね、肌を重ね、息を重ねる。

好きなモノ、嫌いなモノ、欲しいモノが全く違う二人だったけれど、今だけは同じモノを欲していた。

初めて触れる銀時の腕は思っていたより優しく、初めて触れる土方の肌は思っていたより柔らかい。

何度も何度もそれを確かめるようにお互いを求める。

「…万事屋…」

甘く熱い声で名前を呼ばれ、銀時の我慢も限界を迎えた。


+++


「……という夢を見ました」

昼を過ぎて少し人気が減ったとはいえ、ファミレスでとんでもない話をする銀時に、向かい側でマヨ入りコーヒーを飲んでいる土方のカップがカチカチと鳴った。

「て、てめー……な、なんで今、そんな話……」

夢と同じぐらい真っ赤な顔で、でも銀時を睨む目付きは色気も素っ気もない。

でもその顔すら自分に向けられていると思えば嬉しい銀時なのだ。

「仕方ないじゃん。本当は作者の誕生日にしたかったんだけど前の話が終わらなかったんだから」

「そういう意味じゃねえ! どういうつもりでそんな話をしてんだっ!」

「どういうつもりって……分かってるでしょ?」

チクリと土方を責めるような言い方をする銀時に、土方は気付かないフリをしてそっぽを向く。

「……わ、分かるわけねーだろ」

「へえ。だったら教えてやるけど、夢ってさー、願望の現われだっていうじゃん?」

「……だ、だからなんだ……」

「限界なんじゃないかと思うんだよねー、銀さんの銀さんが」

なんだそりゃ、と誤魔化せるほど土方も平静ではなかった。

銀時がどういうつもりかなんて分かりきっているし、原因が自分にあるのも承知しているのだから。

そして銀時も、土方が分かっているのを分かっていて言っていた。

「お付き合い初めてもう半年。未だに固く閉ざされた門を通過できないせいで、せめて夢の中だけでも解放されたがってるんじゃないかなぁ」

「……て、てめー……」

「分かるよ、鬼の副長とはいえど未知なる世界へ足を一歩踏み出すのは怖いよねー。だけどさー、勇気を出して前に進むのが男ってもんだと思うんだよ、俺は」

"良いこと言った"みたいな顔でそんなことを言う銀時に、土方はぎゅっと掌を握り締める。

つまりは"あんな夢を見たのは全部土方のせい"と言っているのであって、そこまで言われて引けるわけがなかった。

「………った……」

「あ?」

「……かった……」

「あー?」

「分かったって言ってんだろうが!! 今夜行ってやらぁ!! 首だけじゃなく全身洗って待ってろコラァァァ!!!」

土方はそう怒鳴ると、律儀にコーヒーを飲み干し金を置いて乱暴な足取りで店を出て行った。

銀時はぽかんとそれを見送ってしまったが、土方のセリフを3回ほど反芻してから我に返る。

「まじでか」

嬉しい気持ちを抑えきれずにやけてしまう銀時だった。



その夜。

『六本木ヒ○ズに立て篭もったテロリストは大勢を人質にとっていると思われ、真選組も身動きがとれない状態です』

『今夜は長丁場になりそうですね』

テレビから流れるニュースの音声を聞いて、風呂上りで全身きれいさっぱりになった銀時がぐったりと項垂れる。

「……やっぱりねー。そうなるよねー。そんなに上手くいくわけないよねー」

うっかり期待してワクワクしてしまった自分にそう言い聞かせた。

だがテレビにとてもテロの現場にいるとは思えない、自分と同じようにがっかりしている顔の土方が写ったのを見て笑う。

「……しゃーない。また今度ね、多串くん」

今夜も夢で我慢しようと思う銀時だった。


 おわり



うーん、本当は冒頭の妄想をもっとエロくしたかったのに。
度胸と文才がないヤツが運営しているサイトなので諦めてください。
銀さんも土方さんもみんなも(笑)
私の頭の中ではもうちょっとイチャイチャしてたからいいか。
はぴば、私!

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