原作設定(補完)

□その42
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#415

作成:2018/11/12




「旦那、副長と付き合ってあげてください!!」

隊服のまま万事屋にやってきた山崎は、そう言って頭を下げた。

一人で留守番をしていた銀時は面倒くさそうに、

「どこに? ちゃんと謝礼はもらうぞ」

そう言ってやったら山崎に変な顔をされた。

「…えっと……そういう意味じゃないです……」

「誤魔化そうとしてもダメだ。お前らと関わるといつも金にならなくて迷惑してるんだから、今回は……」

「だから、そうじゃなくて、“交際”するほうの“お付き合い”なんです!」

「……誰と? 副長さん、って言わなかった?」

「そうです。副長が、旦那とお付き合いしたいと言ってるんんです」

説明されてようやく理解した銀時が、露骨に迷惑そうな顔をする。

はっきり言って銀時は真選組が嫌いだ。

銀時の顔を見れば喧嘩をふっかけてくる土方のせいでむかつくことが多く、この隊服を見ただけで嫌な気分になるほど。

というか、むしろ土方以外は銀時ならびに万事屋に割と友好的で、嫌いじゃないかもしれない。

なので諸悪の根源である土方にそんな告白をされても、良い気分になるはずもなかった。

「嫌です。とっとと帰れ」

「そ、そんなこと言わないでもうちょっと考えてくださいよ!」

「………やっぱり嫌です。帰れ」

「短っ! ちゃんと説明するから聞いてください!」

「時間の無駄」

「あ! これ、つまらないものですが、おやつに食べてください」

山崎がさっと取り出したのは真選組饅頭で、ほんとにつまらないものだったが甘味に罪はない。

受け取ってしまったのでしぶしぶ話を聞くことにした。

バリバリと無造作にパッケージを破って饅頭を取り出す銀時を見ながら、山崎は説明を始める。

食べ終わってしまったら追い出されるような気がするからだ。

「旦那は副長に嫌われてると思っているかもしれませんが、本当はずっと好きだったんです」

「………」

饅頭を食いながら銀時は目だけで“嘘だ”と語ってくる。

「嘘じゃありません。実は副長は……今まで誰かとお付き合いしたことがないんです!」

とんでもないカミングアウトに銀時は饅頭を吹き出しそうになる。

土方といえば真選組のイケメン担当だと有名で、かぶき町では昼でも夜でもモテモテ男なのだから。

「ジミーくーん、さすがにそれは無理なくね? 副長さんがモテないわけないじゃん」

「モテないわけじゃありません。女には不自由してないけど誰とも付き合ってないんです」

「はーん、ふーん、そう、なんでですかぁ」

「だから、旦那を好きになったからですよ」

物わかりの悪い銀時に山崎がうんざりしたような言い方をしたが、さすがに銀時も今のは納得ができた。

「……なるほど、そりゃ説得力があるね。だけど、とてもそうは見えないその秘密をずっと抱えてたのに、なんで急に付き合いたいって思ったんですかぁ」

「それは……」

問われた山崎が、急に言い難そうな表情になる。

もしかして何か魂胆があって利用されるんじゃないかと構えた銀時だったが、モジモジしながら言った山崎の言葉に別な意味で叫ぶ羽目になった。

「旦那を好きだと自覚したときから、どうやらそういう店に行くのも止めてたみたいで……そのう……」

「ムラムラしてる?」

「そ、そうです。もう我慢の限界みたいで……旦那をめちゃくちゃに抱きたいと……」

「ちょっと待てぇぇぇぇぇ!!!!」

「は、はい?」

「何? アイツ、俺を抱く気でいるの? それってこのサイトの趣旨に反しない? 読んでる読者さんガッカリ……というか、びっくりしない!?」

思いがけないことを言われて取り乱した銀時だったが、

「そんなこと知りませんよ……というか、副長と旦那じゃ、どうみても副長のほうが男らしいですよ」

山崎が自信満々にそう言い切ったのでカチンときた。

「はぁぁぁ? 俺のどこが男として副長さんに劣ってるって言うんですかコノヤロー」

「社会的地位と年収と容姿ですかね」

「ぐっ……お、俺だって立派に社長をやってますぅぅぅ」

「年収はいくらですか?」

「……か、かか、金の多い少ないで決められることじゃ……」

「じゃあ新八君とチャイナさんに不満がないか聞いてみます?」

そんなことをされたらきっと大喜びで文句を並べ立ててくれるだろう。

どこをどう比べても、誰に聞いたとしても、土方に勝てる要素がないことに苦悩する銀時だったが、山崎が先に見つけてくれた。

「ああ、でも副長より旦那のほうが剣の腕は強いですね」

「!! だろ!? 俺のほうが強いんだから無理じゃね!? 俺は力ずくで抵抗するからね! 副長さんには負けませんんんんん!」

突破口を見出してテンションの上がる銀時に、山崎はちょっと考えた後訊ねる。


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