原作設定(補完)
□その41
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#408
作成:2018/10/23
素肌が寒いと感じて目が覚めた。
時計を見るともうすぐ10日が終わるころだ。
今日という日を振り返って銀時は思わず笑ってしまう。
誕生日を新八と神楽、巻き込まれたお登勢たちに祝ってもらった。
安月給ながらに2人は銀時のために手作りケーキを用意してくれて、お登勢は店の残りものだと言って食事を出してくれた。
酒も振舞ってくれて、日頃の不甲斐なさを愚痴りながらも、笑って騒いで楽しく過ごした。
それだけでも良い日だったのに、更に嬉しいことがあるなんて。
10月ともなれば夜はもう気温が下がるため、傍らの温もりに手を伸ばす。
土方が疲れた顔で熟睡していた。
仕事で忙しかったはずなのに、時間をとって会いにきてくれたのだ。
目の下にくっきり隈を浮かべているので、ちょっとやそっとじゃ起きないのは分かったが、銀時はそーっと土方の体に手を回す。
温かい体を抱き締めたら、また笑みが漏れた。
本当に楽しくて嬉しい日だ。
子供の頃、"初めて"誕生日を祝ってもらったときぐらい嬉しい。
今日みたいにケーキやご馳走や酒はなかったけれど、先生と悪友に祝ってもらったあの日ぐらい、嬉しい。
だらしない顔で自分の腕の中で熟睡している土方を見ながら、
「……幸せすぎて明日死ぬのかもしれない……」
なんてたわ言をほざいてみたら、土方が盛大に吹き出した。
「ぶふーっ!!!」
「お、多串くん、起きっ……」
「なんだそりゃ、てめーがそんなことで死ぬタマかよ」
「ちょ、ちょっと言ってみただけですぅぅ」
銀時が赤面しているのを見て、土方が珍しく満面の笑みを浮かべる。
それだけでも銀時は心臓を鷲づかみにされたような気分なのに、
「安心しろ。今日がMAXじゃねぇ。来年も再来年も、同じように祝ってやる」
そんなことを言ってくれた。
「…まじでか…」
「まじでだ」
土方が腕を伸ばして銀時を抱き締める。
出来ない約束だと分かっているけれど、約束してくれたという気持ちだけで充分だった。
でも、来年もまたこんな幸せな気持ちになれるのかも、とちょっぴり期待して銀時は目を閉じた。
はぴば、銀さん!
おわり
似たような話を書いているような気が……(またか!)
銀さんがずっと幸せでありますように。