原作設定(補完)

□その40
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#395

作成:2018/07/31




銀時は毎晩おかしな夢を見ていた。

夢だと分かるのは、それがとても有り得ない内容だったから。

真選組の副長、土方十四郎。

彼は銀時に対して笑ったり、甘えてきたり、怒って拗ねたり、積極的なアプローチをしかけてくる。

有り得ない人物の有り得ない行動が夢に出て、気持ち悪かった。

……最初は。

何せ毎晩見るし、ムダにイケメンだし、寄り添って微笑まれたりしたら可愛く見えてくる。

このままでは、現実で土方に会ってもドキドキしてしまうんじゃないかと心配になるが、

「あ? 何見てんだコラァ」

それは無駄な心配だった。

せっかくのイケメンが台無しになるぐらい憎たらしい顔で睨まれ、銀時は深い溜め息をつく。

なんであんな夢を見ているのか分からないが、現実と混同することはなさそうだ。

銀時はそれを確認して、いつものように喧嘩もせずにそのまま帰ることにした。

この当然の結果に、思いの外がっかりしている自分にがっかりしたからだ。

そんな銀時の態度に土方が背後で文句を言ってたが、それに答える気にもなれなかった。

そして残された土方は、その隣に居た沖田が呆れたようにボヤかれ、

「……何してんですかぃ、土方さん」

「わ、わかってるっ」

渋い表情でそっぽを向くのだった。




現実と夢を認識して、そのまま夢を見なくなってくれれば良かったのだが、有り得ない夢はまだ続いていた。

最近はエスカレートして思い出すだけで後ろめたくなるような内容に発展。

酔って土方に遭遇したら暴走してしまうんじゃないかと、酒も飲みに行けていない。

ので、せめて甘いものでもと、精神的にフラフラになりながら団子屋へやってきた。

団子屋でも会ってしまう確率が高いが、素面な分なんとかなる。

団子を食っていたら案の定土方と沖田がやってきて、また嫌な顔をされるかと思ったら、

「お、おい、万事屋」

向こうから、"普通そう"に話かけてきた。

いろんな意味合いを含めた複雑そうな表情で何とも言いがたいが、

「……何だよ」

「あ、のな……その……」

「……何」

「……う……な、何でもねぇぇぇぇぇ!!!」

そう叫んで今度は土方のほうが逃げ出してしまった。

何だあれ、と思ったが沖田は意味知り顔で残っているので聞けば言いようだ。

「帰んないの?」

「俺は団子食いに来たんでさぁ」

「……副長さんは?」

「旦那に用事があったみたいなんですけどねぇ」

「俺に?」


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