学園設定(補完)

□同級生−その4
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#74

作成:2018/07/05




夏休み前。

「十四郎、夏休み暇か?」

「暇じゃねえ」

「えー。部活はもう引退したんだろ? 何すんの?」

「勉強。志望校ギリギリなんだよ」

「俺も一緒にする」

「あ? 学校が違うんだから夏休みの課題は見せられないぞ」

「ち、違うよ。夏休みの宿題じゃなくて……」

「……もしかして、進学することにしたのか?」

「う、うん」

「そっか。じゃあ一緒に頑張ろうな」

「お、おう」



夏休み。

「……お前、やればできるんだな」

「あったりまえでしょー。銀さん、器用だからね」

「そういうもんか?」

「あと、十四郎の教え方が上手いからじゃね」

「ふっ。俺も復習できて助かってる」

「じゃあ毎日頑張ろうな」

「ああ」



「あら、十四郎くん、いらっしゃい」

「おばさん、こんにちは」

「銀時、もうすぐ帰ってくるから部屋で待っててね」

「はい」

「あ、銀時、ちゃんと勉強してる? ぼんやりしてない?」

「真剣にやってますよ」

「まったくどういう風の吹き回しなんだか。勉強したって無駄なのにね」

「む、無駄ってことはないです。あいつだって頑張れば合格できます」

「合格? 何に?」

「……大学に…進学するって……」

「あははは、まさかー。そんなに勉強好きじゃないわよー」

「で、でも、やる気になったのかも」

「だけど、昨日の夜もそんなことを言ってなかったわよ?」

「………」



「ただいまー。十四郎、おまた……な、なに?」

「どういうことだ」

「何が?」

「おばさんが、進学なんかしないって」

「!! そ、それは……」

「……嘘ついたのか」

「………」

「お前が頑張ってて嬉しかったのに」

「……ごめん……」

「なんでそんな嘘ついたんだ」

「……だって……お前が……勉強するから会えないって……」

「…あ?」

「最後の夏休みじゃん! 去年も一昨年も、夏休みも冬休みも春休みも部活で忙しかったじゃん! もう今年の夏休みしか…一緒にいられねーのに……」

「……そんなことで……」

「十四郎にはそんなことでも、俺には大事なことだったんですぅ」

「………」

「……嘘ついて……ごめん……」

「……許さねー」

「! と、とうし……」

「休み明けの最初の試験ってなんだ?」

「え? えっと、実力テスト、かな」

「それで1番とらなきゃ許さねぇ!」

「え、えぇぇぇぇ、い、1番なんて……」

「俺と毎日しっかり勉強すりゃ、なんとかなんだろーが」

「………毎日、会ってくれんの?」

「……だから、勉強頑張れよ」

「うん!!」



 おわり



という、へたれ銀ちゃんのお話でした。


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