原作設定(補完)
□その39
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#387
作成:2018/07/09
「今日は七夕か……知ってるか? 織姫と彦星って一年に一回しか会えないんだぞ。だからこそ深まる愛ってあるよな」
万事屋のソファに座り、テレビで七夕のニュースを見ていた土方がしみじみとそう言った。
相手はもちろん銀時だったが、土方の隣で白けた反応が返ってくる。
「だから? 記録更新してほぼ二ヶ月音沙汰なしだったことぐらい我慢しろって?」
ひさーしぶりに万事屋に現れた土方に、銀時はずっと無言のままで、土方なりに空気を変えようと思って言ったことだったが逆効果だったようだ。
仕事だから仕方ないだろ。
その言い訳を銀時はずっと理解してくれて黙っていてくれている。
それに甘えすぎていたのは確かだ。
反省するかのように、土方はしゅんとしてソファで肩を落としている。
銀時はちらりとそれを見て小さく溜め息をついた。
仕事だから仕方ない。
それは理解しているし文句を言うつもりもない。
だけどせめて声ぐらい聞かせてくれてもいいんじゃないか、と思うのだ。
なのでつい嫌味っぽく言ってしまった。
「あのさー、会えないのは仕方ねーけど、電話ぐらいできんじゃねーの? そんな時間すら作れねー?」
土方はぎゅっと口を噤んでしばらく黙っていたが、銀時が何も言わないのでそれも辛くなってしまったようだ。
なぜか顔を赤くしながら、理由を教えてくれる。
「……こ……声なんか聞いたら……会いたくなるだろーが……」
消え入りそうな声だったが隣に居たのでちゃんと聞えた。
銀時が怒っているから、とウソを言っているようには見えない。
となると、まさか土方がそんなことを思ってたり、言ってくれたりするとは思っていなかったので、銀時のほうも釣られて赤面してしまった。
それが恥ずかしくて、慌てて適当なことを言ってみたりする。
「あ、そう…………じゃ、じゃあ、織姫と彦星も携帯とか持たないほうがいいね。会いたくなっちゃうと困るもんね」
「そ、そうだな」
土方も自分で言った台詞が恥ずかしすぎたのか、適当な返事をしている。
二人はソファでモジモジしながら、一年に一回しか会えない織姫と彦星よりはマシだな、なんて風情のないことを考えるのだった。
おわり
うーん、無理矢理な七夕ネタだったなぁ。
恥ずかしいことを言う土方さんも好きだし、
言わない土方さんも好きです。
言わせるのは、銀さんが嬉しいからかと思うからです(笑)