原作設定(補完)

□その38
26ページ/26ページ




30分後、万事屋に到着した土方を出迎えたのは、

「すいまっせんしたぁぁぁぁ!」

と土下座する銀時だった。

原因は当然一つで、土方は憮然とした表情で問いかける。

「……なんで言った……」

銀時は頭を下げたまま、言いにくそうに答えた。

「えっと…そのう……すこぶる酔ってましてぇ……いつの間にかゴリさんが隣にいて、土方くんの話題を振られたもんだから、ついつい嬉しくて話してしまった……らしくて……」

「らしい?」

「お、覚えてないんですぅぅぅ。2日酔いで家でダラダラしてましたら、新八と神楽が……ま、街中の噂になってると……」

「……ま、街中……」

「居酒屋でゴリさんとの会話を聞いた奴らが言いふらしたそうです! すいませんんんん!!」

再度深く頭後下げていた銀時は、土方に怒られるものだとビクビクしていた。

付き合うことになったとき、真選組はもちろん他の人間にも知られないように、と念を押されていた。

神楽と新八には早々にバレてしまったのだが、他言させないということでなんとか許してもらい、ずっと気をつけていたのに。

"喧嘩するほど仲が良い"と実演していたおかげで、普段通りに振舞っていても深い関係まで疑われたことはなかったのに。

土方の急な出張のせいで、ようやくのデートをキャンセルされた銀時はうっかり自棄酒をしてしまったのだ。

その後は覚えていない。

近藤に会って、近藤のせいで出張していたのは知っていたので八つ当たりをし、目撃情報のようなことになったのだろう。

真選組の副長が、男と、しかも万事屋なんていまいちな仕事をしている自分と付き合ってるなんて、知られたくなかったのにバラしてしまった。

そう思っていた銀時に、土方がぽつりと呟く。

「……てめーは良いのか……」

「……へ?」

予想外の言葉に銀時が頭を上げると、土方は怒っているどころか辛そうに顔を歪めている。

「土方くん?」

「……てめーが……知られたくねーんじゃねーかと思って……」

「……俺のため?」

「俺なんかと付き合ってるなんて……」

ああ、どこまでも似たもの同士なんだ、と銀時は内心でホッとする。

銀時が"俺なんか"と思っていたように、土方も思っていて、お互いを気遣って隠したがっていたようだ。

笑ってしまいそうになるのを我慢して、銀時はそれをちゃんと伝えた。

「そんなわけないでしょーが。俺は……俺も、土方くんが知られたくねーんだと思ってました」

すると土方も同じことを思ったのだろう。

なんだ、という顔をしながら、

「俺だって……そんなわけねーし……」

モジモジとデレてくれた。

あんなこと考えて二人のことを隠していたせいか、土方が今までこんな顔を見せてくれたことはない。

なので銀時も大興奮。

その前に一つだけ心配事を確認をして、

「そ、そういえば……ゴリさんに聞いたんだろ? なんか言われた?」

「あ? い、いや、別に……俺が楽しいならいい、って」

「じゃ、じゃあ、めでたく公認になったことですし、もし、今日お休みなら、そのう……」

この後の願望を伺おうとしたら、聞く前に土方のほうからドスッと抱きついて来てくれた。

一瞬むせそうになるのを堪えて土方を見下ろす。

「そ、その前に……腹減った……メシ……出せやコラァ」

顔を赤くして呟くように甘えてくれたので、

「ガッテンだ!」

単純にノリノリになる銀時だった。


 おわり



ふぅ、今日は可愛い土方さんが書けました。
中途半端で終わってる感がありますが、大丈夫です。
この後はイチャイチャしますから……
書かないけど(笑)

次の章へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ