原作設定(補完)

□その38
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#379

作成:2018/06/09




万事屋のソファにドカリと座り、銀時はイラつきながら時計を何度も見る。

仕事が不規則なのは同じなのに、不規則に仕事が入る銀時とは違い、不規則にしか休みが取れない土方を待っていた。

久しぶりに「今日は行ける」と電話があってから数時間。

神楽を新八に預けて、貧しいながらも酒とつまみを用意して待っているのだが、なかなか玄関の呼び鈴が鳴らない。

なのでついつい、

「遅せーな。またドタキャンか?忙しい忙しいって、優しい銀さんだってそろそろぐれちゃうよ、浮気なんかしちゃったりするかもよ」

なんて愚痴が出てしまうのだ。

何度目かの溜め息の後ようやく、玄関の呼び鈴が鳴ると同時に扉が開いた。

愚痴とは裏腹にパッと嬉しそうな顔になってしまったのを、慌てて難しい顔に戻す。

ここで甘い顔をするからつけあがるのだ、なんて思ったのだが、廊下を抜けて部屋に入ってきた土方は、もっと難しい……険しい顔をしていた。

「う、嘘だよ、しないよ」

「あぁ?」

「や、なんでもないですぅ」

愚痴を聞かれてしまったのかとついつい謝ってしまったのだった。

土方は険しい顔のまま銀時の居るソファまで近づいてくるが、足取りはふらついていて、銀時は思わず手を差し伸べてしまう。

「ちょっ……」

「……悪い……」

そのまま銀時に身体にもたれかかるように、土方はぐったりとした身体を預けてくる。

「……三日、ほとんど寝てねー……せっかく来たのに……」

「……」

よく見れば目のしたにはしっかりと隈ができていて、三日以前もろくに寝れていなかったに違いない。

銀時は土方の身体を支えたまま和室へ入り、用意してあった布団に寝かせる。

このまま横になってしまったら朝まで起きれない自信があった土方が、不満そうな顔で訴えた。

「……おい……」

「いいから、寝ろよ」

「………すまねー……」

頬に触れた銀時の手が温かくて、土方はそう呟いて落ちるように眠りについた。

こんな状態なのに会いにきてくれた。

せっかく来たのに、と残念そうに言ってくれた。

そのことが嬉しくて銀時は、さっきの愚痴はすっかり忘れて嬉しい気持ちで土方の寝顔を見つめる。



あれから、どうせ何をしても起きないだろうと、銀時は寝ている土方の隣で寝顔を満喫したりつついたり撫でたりしていたのだが、反応がないとやはりつまらなくてソファに戻ってテレビを見ていた。

日付が変わる前ごろ和室から携帯の着信音が鳴っているのが聞えてきて、銀時が立ち上がろうとしたとき、

「…はい、土方…」

着信音が切れて土方がそう答える。

あんなに熟睡してたのに起きたのか、と思いながら銀時はソファに座り直す。

「…土方……ああ、それは……うん……そうしてくれ…わかった……」

少しの間話し込んだあと、電話を切ったようだったので銀時は和室を覗き、

「おい、腹減らねーか?」

そう声をかけたのだが、土方は携帯を持ったまま眠っていた。

もう一度名前を呼んだが返事はなく、すでに再度熟睡してしまったようだ。

『電話に出たのは条件反射だな……ったく、どんだけ仕事が好きなんだ』

土方の手から携帯を取り布団の済みに投げると、銀時は隣にごろんと寝転んだ。

どうせ待っていても起きそうにない。

だったら添い寝してこのまま眠ってしまおうと思った。

『我慢強くて物分りの良い銀さんに感謝しないさいよコノヤロー』

そう心の中で愚痴りながら目を閉じる。

明日の朝、済まなそうな顔をする土方も可愛いんだよな、と楽しみにしながら眠りにつくのだった。


 おわり



なんてことない話。
土方さんずっと寝てますが、一応イチャイチャできました。
銀さんが満足してるので良しとしてください(笑)

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