原作設定(補完)

□その38
23ページ/26ページ

#378

作成:2018/06/09




某日、某所、某路地裏。

土方十四郎は自分に起こっている事象に、内心で動揺せざるを得なかった。

内心で、なのは、相手が銀時だから。

普段喧嘩ばかりしているせいで、"目を逸らしたら負け"という動物の闘争本能が働いているのだ。

動揺を隠して、自分をじっと見つめている銀時を見つめ返す。

逃げ場所はない。

なにせ裏路地に連れてこられたあと、寄ってくる銀時から後ずさっていたら壁に追い詰められ、両腕で行く手をふさがれてしまった。

『あれ? なんだコレ? もしかして……"壁ドン"とかいうやつ?』

近づいてくる銀時の真っ赤な瞳に吸い込まれそうで、何をさせそうになっているのか分かっているのに動けない。

ただの"憎たらしい喧嘩相手"と思っていないことを、土方も、そして銀時も気付いていたのだろう。

どんどん銀時の顔が近づいてきて、息がかかるころ、ようやく目を閉じることができた。

ぎゅーっと硬く目を閉じて身構えたというのに、それ以上何もないのでそっと目を開けてみる。

ここまで迫っておいて銀時は土方を見つめたままだった。

「?」

「……キスしたい」

「…な、なんで」

改めて問われたら、改めて聞き返してしまった。

「分かんね」

「…わ、分かんねーじゃねーよ……理由もなしに、そんな……」

「だけどすげーしてーんだけど」

「…我慢しろよ」

「無理」

「……だ…ったら、聞くんじゃね……んっ……」

覚悟して目まで閉じてしまった自分が恥ずかしくて、じらされているのが悔しくて、目を逸らしたとき今度こそ強引に唇が重なる。

このやろー、と思いながらも黙ってそれを甘受していたが、いつまでだっても終わらない終わらない終わらない。

こんないつ誰に見つかるかも分からない場所なのに、と抵抗して文句を言ってみたが、

「…も…しつけ…」

「だって、もうこんなチャンスねーし」

そう言って再度キスを繰り返される。

あまりのねちっこさに呆れ、このままでは本当に誰かに見つかってしまうかもしれない、と焦った土方は、つい言ってしまった。

「おいっ、しつけーって…」

「だって…」

「わ、分かったからっ」

銀時が止めてくれないのは"もうこんなチャンスがない"からだし、だったらそれを許可するしかない。

強引な結論だったが、"嫌だから止めろ"とは言いたくないので仕方なかった。

なのに、

「…なにを?」

「…だ、だから……それは……」

百歩譲ってやったのにとぼけられて口ごもる土方に、銀時は小さく笑う。

「それ…また、してもいいってこと?」

「………こ、ここじゃ困るんだよっ……」

真っ赤になってそう言った土方に、今度は本当に嬉しそうに笑って銀時は土方を抱き締めた。

「うん。じゃあ今日はこれで我慢する」

「……」

譲ったんだか譲られたんだか分からないが、銀時が嬉しいならいいかと思って土方はそっと目を閉じた。



が、土方がじっとしているのを良いことに、銀時の手が背中やら尻やらを撫で始めたので、今度こそ本気で抵抗する。

「全然我慢してねぇぇぇ!!離れろぉぉ!!」

「いひひ」

全然反省していない銀時に、ちょっと後悔する土方だった。


 おわり



はい、めっちゃイチャイチャしてますね!
もう三年も前のネタだったんですが、
文章つけたから長くなってるけど、ただちゅーしてるだけの話でした。

次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ