原作設定(補完)

□その38
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#371

作成:2018/05/14




「源外のじじいの大槌で小さくなるぅぅ?」

パチンコでいつものようにすっからかんになって帰ってきた銀時は、留守中にあったら仕事の依頼内容を聞いて眉間にシワを寄せる。

「そうです。飼っているペットが飼い主の高い指輪を飲み込んでしまったらしく、それを取り出して欲しいそうです」

「んなもん、ほっときゃ、う○こに混じって出てくんだろ」

「それが、3日経っても出てこないらしく、レントゲンを撮ってみたら同じ場所から動かないので、装飾が引っかかってしまったんじゃないかって」

「……だったら手術して取り出すとか……」

「それをしたくないから、打ち出の小槌の噂をききつけて依頼が来たんですよ」

内容は納得できても、酷い目にあったことを思い出して渋る銀時だったが、

「銀さん。相手はものすごっっくお金持ちで、依頼料もものすごっっっっっく良いんです。嫌なら今日パチンコですった分、今すぐ……」

「わあったよ! やりゃあいいんだろうが、やりゃあ!」

新八に正論で攻められて、仕方なく了承するのだった。



早速源外庵を訪れた万事屋一行。

「打出の大槌Zを貸せだぁ?」

「お願いします」

「別にいいけどよぉ……どこにしまったかな」

「おいおい、大丈夫か。それ使い物になんのかそれ」

不安になる銀時の前に、奥の部屋をガサゴソ漁って出てきた打出の大槌Zが運ばれてきた。

埃をかぶったそれに電源を入れようとして、源外は首を捻る。

「おかしいな、動かねーぞ。電池が切れたかな」

「電池で動いてんのそれ」

「予備の電池はねーから……おい、ちょっとテレビのリモコンの電池抜いてよこせ」

「はーい」

「しかも単三2本で動くのかよ」

新八が言われたように電池を抜いて持ってきて、それをセットするのを銀時は益々不安そうな顔で見つめる。

「お、動いた動いた。よし、じゃあいくぞ」

「ちょ……ちょっと待って。やっぱりじゃんけんで……」

「パチンコで摩ったのは銀さんです」

「銀ちゃんが行くのがスジアル」

「……くっ……」

従業員たちの情け容赦ない言葉にそれ以上何も言えず、銀時は不安と恐怖と後悔でいっぱいになりながら、打出の大槌を前回と同じように食らった。

鈍い打音、飛び散る血しぶき、上がる土煙。

それが収まったときには、ペットの猫の体内に入れるぐらいの銀時が出来上がっているはずだった。

が、銀時の不安は的中。

「え?」

新八と神楽がきょとんとしている視線の先には、6才ぐらいの銀髪の子供が銀時のいつもの服を着て座っていた。

「いてて……」

頭を擦りながら顔を上げた子供は確かに銀時で、大人の銀時のまま小さいサイズになるはずが、なんらかの原因で子供になってしまったんだ、と想像するのは容易かった。

が、想定外だったのは、子供の銀時は新八たちを見て、

「なんだ、お前ら」

殺気を帯びた目で睨みつけていること。

どうやらこの銀時、記憶まで子供に戻ってしまったようで、新八はとんでもない自体になったと蒼白になるのだった。

が、焦る新八とは裏腹に、

「ぎ、銀ちゃん? …………ものごっさ可愛いアルぅぅぅぅ!!」

神楽はそう叫んでから、目にも止まらぬ速さで小さい銀時をぎゅぅぅぅっと抱き締めた。

神楽の腕の中にすっぽり納まってしまう銀時は、ジタバタともがいている。

「な、なにすん……いててっ! この女っ、バカ力っ! 離せっ!!」

「よーしよし、怖くないアルよぉぉ。銀ちゃんにもこんな可愛いときがあったアルね!」

楽しそうに銀時を可愛がっている神楽を見て、新八も落ち着いてきた。

「えっと……源外さん、元に戻せますか?」

「そうしてやりてぇのはやまやまだが……壊れちまったな……」

無責任にも予想外の効果がでたことに興味津々の源外の手に握られた打出の大槌からは、ぷすぷすと白い煙が上がっている。

「ええっ!? じゃあ、依頼のほうも……」

「無理だな」

久しぶりにガッツリ稼げるかと思ったのに、とガッカリする新八だったが、いつまでもそうしてはいられない。

まだ神楽に遊ばれている銀時を見て、

「……いつ直りますか?」

「やってみねえとわからねえなぁ」

「……それまで銀さんはこのままってことですよね」

「そうなるなあ」

あまり期待できない返事をする源外に、割といろんなとんでもないことに遭遇してきて慣れっこになっていた新八は諦めた。

こうなってしまったことは仕方ないし、すぐになんとかできないのも仕方ない。


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