原作設定(補完)
□その37
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#362
作成:2018/04/01
「ドタキャンは多いわ、何かに付けて近藤、近藤言うわ、銀さんもう限界なんだよね。だからもう別れよう」
銀時は万事屋ので指定席の椅子に深く座り机に足を乗せ、電話に向かってそう言い放った。
電話の相手は土方で、なんと言ってくるかわくわくしている銀時は、もちろん本気では言っていない。
カレンダーの"4月1日"を見ながら、「実はエイプリルフールでしたぁ」と言おうと準備していたのに、
「……分かった」
土方は落ち着いた声でそう言って電話を切られてしまった。
「……え……ちょっ……多串くん!?」
『銀さんも子供っぽいことしてるなぁ』なんて呑気に茶を飲みながら様子を見ていた新八は、動揺して必死に受話器に向かって話しかけている銀時を見て苦笑い。
「切られちゃったんですか?」
「……おいおいおい…………あ! 着信拒否してやがる!!」
慌てて掛けなおしたものの返ってきたのはお姉さんの声で"お繋ぎできません"という機械的なメッセージ。
ソファの上で神楽がボソッと言った。
「怒らせたアル」
「ええぇぇぇっ!? だ、だってエイプリルフールの嘘……」
「もしかして土方さんエイプリルフールとか知らないのかなぁ」
「!? まさか……」
新八が有り得そうなことを言って銀時を蒼白させたが、神楽はもっと衝撃を与える。
「違うアル。知っててとぼけたネ。きっとトッシーも銀ちゃんと別れたい思ってたんじゃないアルか」
「!? そんなことありませんんん!! 俺たちはものごっさラブラブ……」
「文句言ってたアル」
「!!」
「あー、愚痴ってましたね。あれは土方さんもショックだったんじゃ……」
「多串くんんんんん!!!!」
悲痛な叫び声を上げて飛び出して行った銀時を見送り、新八と神楽は呆れた顔で溜め息をつくのだった。
銀時の心配を余所に、屯所に駆けつけた銀時は、中に入れてもらえなかったら強引にでも突破しようと思っていたのに、あっさりと副長室に通された。
そこには仕事で疲れた顔の土方が待っていて、エイプリルフールを知らないのか尋ねたら、
「知ってるに決まってんだろバァカ」
そう言われて銀時は、"じゃあやっぱり知ってて了承したのか"と焦る。
「……そ、それじゃあ、本当に別れたいと思って……」
「嘘だと気付いてたに決まってんだろ。こっちも嘘だバァァァァァカ!」
銀時のことだから何か嘘をつくに決まってると予想していたが、よりにもよって別れ話だったので、疲れていた腹いせに乗っかってやった。
きっと慌てて駆けつけるだろうから、そうしたら少しでも会えるな、と思ってのことだ。
土方を騙すはずがまんまと騙されてしまった銀時だったが、嬉しいので腹が立つはずもなく、
「多串くんんんん!!!!」
土方のほうも、ぎゅーっと抱き付いてくる身体を満足気に抱き返すのだった。
おわり
「あれ、前に書いたか?」と思って思わず保管庫を調べなおしてしまったネタ。
ま、ありがちですけどね。