原作設定(補完)

□その37
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#361

作成:2018/03/31




もう春とはいえ夜はまだ寒い日もある。

だがその日の万事屋の、銀時の万年床せんべい布団は暖かかった。

久し振りの休みに目の下にクマを作った土方がやってきて、ご飯を食べ酒を飲み、イチャイチャしたあと一つの布団で寝ている。

そんな至福の時間を過ごせたのだから、男二人で寝るには狭い布団でもポカポカなのだ。

しかし、隣でぐっすり寝ている土方の顔を堪能したあと、銀時もようやく目を閉じた途端、

「……だから、近藤さんが一番大事だって……」

土方の口からそんな言葉が出てきた。

閉じた目をふたたび開けて銀時は土方を見る。

日頃うっ憤が溜まっているせいか土方が寝言を言うことはままあったが、いつもは誰かを叱っていたり怒ったりしているものばかりだったのに。

しかも内容が内容だけに銀時が凍り付いていると、その不穏な空気に気付いたのか土方が目を覚ます。

土方自身も、昔から自分が寝言を言ってしまうのも知っていたし、それは、その時見ていた夢とリンクしているのも知っていた。

今見てた夢は、銀時と付き合い始めてから休日に近藤と飲みに出かけることが少なくなった土方に、拗ねてしまった近藤を必死に説得してるものだった。

そのまま口に出してしまったのだとしたら、たとえ土方にとって真選組が一番だと理解していても、銀時にはショックだったんじゃないかと思う。

「よ、万事屋……」

恐る恐る土方が声をかけると、銀時は何も言わずにくるりと背中を向けてしまう。

一緒に寝ているのに銀時が背中を向けていることなんてなかったので、土方は慌てて寝言の言い訳をした。

「万事屋っ、今のはそのっ、夢の中で近藤さんが……」

説明しているのに銀時は振り向いてくれなくて、それでも土方は頑張って続ける。

いつも我慢して待っててくれる銀時をしょんぼりさせてしまったことをすまなく思うからだ。

が、当の銀時は背中を向けたまま嬉しそうに笑っていた。

寝言自体はとてもショックだったのだけれど、目を開けた土方が『しまった』という顔をしたのがなんだか嬉しかったのだ。

いざとなったら土方が銀時よりも近藤を選ぶだろう、なんてことは覚悟している。

だけど今はその時じゃないし、焦るということは銀時に嫌われたら困るということ。

必死に言い訳する土方の声を背中で聞きながら、次は、笑って許す銀時にほっとする可愛い土方が見れるかな、なんてことを考える銀時だった。


 おわり



……全然膨らまなかったな……
これも3年前ぐらいのネタっす。
銀さんが嬉しいだけの話でした。

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