原作設定(補完)

□その36
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おまけ その1


「じゃあ、行って来る」

「はい、行ってらっしゃい」

「ちゃんと働いて来いヨ」

早朝、万事屋の玄関で一家の大黒柱の出勤をお見送りする一同。

今のところ土方は頑張って毎日ここから出勤することができていたが、朝早いので段々見送りがおざなりになってきていた。

寝巻きのまま寝惚け眼で見送る銀時と神楽の間から、きらきらとした可愛い笑顔で、

「お、おかーしゃん、い、いってらっしゃ」

覚えたてのつたない言葉でそう言われたら、体に残っている昨日の疲れも吹っ飛ぶというもの。

「行ってくる。ちゃんと良い子にしてろよ!」

「あい!」

ぎゅーっとハグしあう二人を温かい目で見守る銀時を、じーっと見つめる神楽。

「……なんだよ」

「銀ちゃんはしないアルか」

「何を」

「いってらっしゃいのチューアル」

新婚とはいえ、コブを2つも3つも付けておきながら、そんな甘い見送りはさすがの銀時も恥ずかしい。

「…………しねーよ」

「なんだ、つまんねーアル」

神楽がつまらなそうに部屋に戻ってしまう中、土方は内心でちょっとがっかりしていた。

どうりで新婚さんのド定番な、

「土方、忘れ物」

「あ? 何も忘れてねーよ」

「いってらっしゃのチュー」

「……ばかじゃねーの」

っていうやりとりをしてくれないはずだ。

全然新婚っぽくない生活なので、そのくらいの"っぽさ"をちょっとだけ期待していたのだがないらしい。

そして、がっかりしている自分に気付いて土方はなんだか恥ずかしくなり、急いで出かけてしまうことにした。

「……行く」

逃げるように扉を開けたとき、

「土方」

銀時に名前を呼ばれ、肩に手をかけられて引き止められる。

なんだ、と振り返ったのと同時に、目の前には銀時のドアップと熱い唇の感触があった。

短いキスのあと、銀時はしてやったりガオで笑う。

「いってらっしゃい」

「…………い、いってきます」

がっかりしたのを見破られていたのかと思うと、嬉しいような悔しいような、微妙な顔をして土方は出かけていった。

その姿を見送って、

『あー、もー、可愛いったらありゃしない』

新婚ごっこも悪くないと思う銀時だった。





おまけ その2


「銀楽が良いアル! ね〜、銀楽ぅ?」

「やめてくんない、その落語家みたいな名前やめてくんない」

「万時にしましょうよ」

「前も思ったんだけどさ、なんで万? 銀と何もかかってないよね?」

「金時で良いんじゃねーか」

「見た目が銀なのにぃ? 見栄を張ってるみたいだろうが」

「じゃあ銅時」

「ゴロ悪っ! それに格下っぽくて嫌だ」

「じゃあ銀ちゃんは何が良いアルか!」

「そんなもん、銀四郎に決まってんだろう!」
「……銀、四郎……」

“銀”時 + 十“四郎” = 銀四郎

「……安直アル」

「ベタですよ」

「………」(ちょっと恥ずかしい)

「お前らなぁ、よく見ろ!!」

「「「?」」」

「顔も髪も俺100%だろうが! 名前ぐらいミックスしねーと二人の子供っぽくねーだろうがぁぁぁ!!」

「「「………」」」

ものすごく説得力があって、ものすごく可哀想だったので、名前は“銀四郎”に決まりました。



つづく..
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