原作設定(補完)

□その35
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本気で悩んでいたらしい土方はショックを受けたようだったが、

「……て、てめー、俺は真面目に……」

「ぶふっ……お、お前がそんな風に真面目に落ち込むだろうからって、沖田くんにしてやられたに決まってんだろ」

沖田の考えそうなことは銀時にも想像がつくので、笑いながら教えてやった。

きっと昨日から、段々落ち込んでいく土方の様子を眺めて楽しんでいる沖田の姿が目に浮かぶ。

"今年は土方さんをそっとしといてやりやしょう"とか言われて近藤のほうも説得されたのだろう。

銀時に言われて"そうかもしない"と思った土方のほうは、しょんぼりしていた顔がすぐに険しくなりつつ、気恥ずかしさから真っ赤になった。

「あ、あのヤロォォォォ」

そのまま立ち上がって沖田のところに怒鳴りに行きそうな勢いの土方の腕を掴んで、銀時は引き止める。

「おいおい、どこ行くんですか」

「総悟のヤツに一言言ってやらねーと気がすまねーだろーが」

「土方くんが元気になるのずっと待ってた俺には何もなしですか」

わざとらしく拗ねるように言ってやったら、土方も我に返った。

子供らまで巻き込むつもりがなかったので普通にしていたが、二人きりになってまた気分が沈んでしまい、銀時が一生懸命気に掛けて色々してくれたのに全部無視した。

心配してくれただろうに、放ったらかしで帰ってしまうのは恋人としてあまりに酷い。

腕を掴まれているので、元居たソファではなく銀時の隣に座った。

お、という顔をしている銀時をちらりと見てから、

「す、すまねー」

と素直に謝罪するのだった。

あまりにも可愛いのでもっと苛めたい気持ちにもなる銀時だが、せっかく節分の悩みが無くなったのに困らせるのも可哀想だ。

なので赴くままぎゅーっと抱き締めて可愛がってやることにした。

「可愛いぃぃぃ!!」

「か、可愛いってなんだっ!!」

「来年からさー、豆をぶつけられて追い出されたらそのままうちにおいで」

「あ?」

「うちなら鬼だって大歓迎だし、次の日からまた頑張って鬼になれるように慰めてあげられるしね」

節分の後はしばらく鬼呼ばわりされたことを気にして大人しくしてるのまで見破られていたようだ。

男のプライドとしてここで強情を張ることもできたのだが、せっかく慰めてくれるというのだから甘えてみたくもある。

「し、しかたねーから慰められてやる」

そう言って銀時にしっかり抱き付いてやる土方だった。

そして銀時のほうは、

『よっしゃぁぁぁぁ、来年から節分デート確定ぃぃぃ!』

と思いがけない約束ができたことに、土方には悪いがちょっぴり沖田に感謝するのだった。



 おわり



……やっぱり行き当たりばったりは良くないね(笑)
前回のが上手くいったんで、今回も"土方が黙ってソファに座ってる"から妄想してみたけど、
"銀時の女性問題"で拗ねるのもありきたりだしなー……と。
だからって節分ネタをもってくるか……自分に無茶ブリしました(笑)

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