学園設定(補完)
□逆3Z−その4
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#73
作成:2018/07/04
夏休み前。
「土方せーんせ」
「坂田……またお前か……」
「あ!!」
「な、なんだ」
「ようやく俺の名前覚えてくれたんだ。先生がこの学校に赴任してきてから4ヶ月、声をかけたかいがあったなぁ。超嬉しい!」
「……今日は何の用だ」
「先生、夏休みは何してんの?」
「夏休み? 普通に学校だけど」
「え? 先生、部活の顧問とかやってたっけ?」
「……お前らは夏休みでも、教師は登校するんだよ」
「まじでか!」
「そうだよ」
「……へえ……大変だね」
夏休み、昼。
「あ、学食も休みなのか……今日は暑いし外に行くの面倒だな……」
「土方せーんせ、見っけ!」
「さ、坂田?」
「昼飯まだ? まだだよね? 学食休みなの知らなくて食べに来てがっかりしてるところだよね? お腹空いているよね?」
「だ、だからなんだ」
「じゃーん。昼飯作ってきたから一緒に食べてくださいっ」
「……あ?」
「俺、今、この近くでバイトしててさ。昼は先生と食べたいなぁって作ってきたんだよ。だから、ねー、食べてぇ、ねーねー」
「わ、分かった。分かったから」
「やったー」
「美味しい? 美味しい?」
「……美味い……」
「でしょ? どんどん食べて」
「……誰が作ったんだ?」
「俺に決まってんじゃん」
「……無駄に器用だな」
「無駄じゃないですぅぅぅ。来年からは飯の種だからね」
「……本当に進学しないのか?」
「しないしない」
「成績も割りと良いし、金だって奨学金とかあるんだぞ」
「そこまでして勉強したくないもん。だから、いいの」
「……じゃあせめてちゃんと就職したらどうだ?」
「ちゃんと就職するじゃん」
「……いや、“万事屋”とか得体の知れない仕事じゃなく……」
「頼まれればなんでもする、ちゃんとした仕事だよ。器用な俺にぴったり」
「……そうか」
「うんうん。あ、もっと食べてね!」
「おう」
「ごちそうさまでした」
「おそまつさまです。……あ、あのぅ」
「ん?」
「明日も来ていいかなぁ」
「あ? いや、それは手間だろう」
「全然! 良い? 一人分も二人分もあんま変わんないし、先生の好きなもん入れてくるし!」
「……分かった。じゃあ、頼む」
「うん! それじゃ……」
「あ、ちょっと待て。……ほら」
「2000円? なに?」
「弁当代。今日の分と明日の分」
「え、いいよ。俺のついでだし」
「……坂田。飯の種、だろ。仕事をした代償はちゃんと受けとれ」
「………仕事じゃねーし」(小声)
『でも、それで気がねなく一緒に弁当食ってくれるなら、いいか』
「ん?」
「なんでもない。じゃあ貰うけど、半分でいいよ。節約メニューだから」
「そうか」
「じゃあ、また明日ぁ」
おわり
一緒に弁当を食うというだけの話。
続きは……たぶん、ない(笑)