学園設定(補完)

□逆3Z−その4
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そんな土方の姿に、銀時の向かいに立っていた男が気付いて言った。

「金時ぃ、おまんの後ろにいるには確か……」

「あ?…………っ!!!! ひ、ひひひ、土方せんせっ!!?」

「ああ、やっぱりそうじゃったか。おまんのあこ……」

ニヤニヤと笑った男の手から赤ん坊を奪い取ると、銀時は明らかに動揺したまま叫んだ。

「おいぃぃぃぃぃ!!もういいからてめーは帰れ!!!」

「あ〜?赤ん坊を預かれっちゅー話じゃ……」

「今更意味ねーんですよコノヤロォォォォ!!」

キレる銀時に、男は納得できないような顔を一瞬だけしたものの、"まあいいか"という態度で帰って行った。

立ち聞きした内容では同窓会に行くために赤ん坊を預けようとしていたらしいのに、何故それを止めて男を帰してしまったのかは分からない。

だがこのままここに居ても良いことなんて何もないのは分かる。

土方は銀時の顔を見ようともせずに逃げ出そうとするのに気付いて、銀時が慌てて呼び止めた。

「待って、先生!!マジで、お願いだから!!!」

聞きたくない気持ちと、こんなに必死になってどんな言い訳をするのか聞いてみたい気持ちがぶつかり合ったせいで、逃げ損ねた手を銀時に掴まれた。

初めて触れられた手を振り解けなくて、

「……離せ」

「話す!ちゃんと説明するから!」

「そっちの話すじゃねーよ。手を離せ」

「離しませんんんん!!話すまで話さないから!!」

断固拒否する銀時に、周囲の人の視線を集めてしまっていることもあり、土方は逃げるのを止めるしかなかった。

その隙に、銀時はおもむろに赤ん坊の服に手を突っ込むと、中に入っていたらしい紙を一枚取り出す。

それを土方の目の前に突きつけなが
ら、

「はい!!これ、赤ん坊の父親!!親戚だから!!俺に似てるから、赤ん坊も俺に似てるだけだから!!」

分かりやすく完結にはっきりきっぱりと説明してくれた。

写真には、銀時より温和そうでのほほんとした男が、奥さんらしき人と一緒に赤ん坊を抱いて写っている。

それだけで十分説得力があったが、土方がまだ複雑そうな顔をしているので銀時は最後の手段に出る。

「待ってろって言ったのは俺なのに、そんな酷いことするわけないじゃん」

「…………そんなの分からないだろう……」

「ないんですぅぅぅ…………ずっと……先に好きになったのは俺のほうなんだしっ」

「………は?」

何を言い出すんだと思って銀時を見ると、赤くなった顔を悔しそうに歪めた。

「あのさぁ……ずっと俺を見てて、そんで好きになったって言ってただろ。俺がっ…………なんとも思ってない教師に説得されたぐらいで進学なんか決めると思うわけ?」

「……な……なにを言って……」

「ずっと好きだったあんたが、俺のことに一生懸命になってくれたのが嬉しくて頑張っただけ!大学卒業して立派な社会人になったら見直して俺にときめいちゃったりしてくんないかなぁって、邪なことを考えていたのは俺の方なんですぅぅぅl!!」

土方に告白されたときはあまりの嬉しさに、大学なんて行かずにそのまま付き合ってしまいたくなかった。

だがそれでは"頑張ってる姿を見て好きになった"なんて言ってる土方を失望させてしまう。

ついついノリで"4年間帰ってこない"と言ってしまった手前もあり、泣く泣く約束を守る羽目になった。

まあ、実際のところバイトしながら大学を立派に卒業するのは、本当に帰省してる暇がないぐらい大変だったのだが。

白状してしまって土方はどんな気持ちだろう。

やっぱり失望させてしまっただろうか、と思いながら銀時が恐る恐る土方を見ると、顔を真っ赤にして嬉しいような怒っているような複雑な表情で呟く。

「……そういうことは早く言え、バカ……」

思わぬデレに銀時のテンションも上がるが、

「ああぁぁぁぁ、しまった!!!」

「な、なんだ……」

「コイツが居たらハグもできないぃぃぃぃ!!」

銀時は赤ん坊を抱っこしたままで、ぎゅーもちゅーもできそうにないことを嘆いた。

邪魔モノ扱いされたことが分かるのか赤ん坊は不機嫌そうで、そんな顔が受験勉強中によくしていた銀時の顔に似ていて土方は内心で笑ってしまう。

生徒を好きになったことに悩んだり、事実を知らずに4年間待たされたことには腹も立つけれど、それよりも嬉しいほうが大きいのも確かだ。

だから笑ってやるしかない。

「……それは、また今度な」

今日はコブ付きの同窓会に出席して、仕切りなおしはまた後日に、と提案してくれた土方に、銀時も嬉しそうに笑った。



 おわり



ああ、いつもの展開になっちゃったな。
逆3Zだと、どうしても銀さんが先に好きになってた、っていう設定にしたくなっちゃう。
……あ、勘七郎の名前出さないでしまった(笑)

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